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部室に着いて早々、柳先輩の言葉に黙ってうつ向いちまったみょうじに焦る。さっきの顔からして俺がバラしたって思われてるし。



「ち、違うんだってみょうじ!俺は、」

「ちなみに赤也に聞いた訳ではない。確かにみょうじについては聞かれたが、赤也からお前の事は聞いていない」

「・・・・・」

「参謀、回りくどいナリ。お前さんが女優じゃって知っとるんは、調べたからじゃ。まぁ、俺は見て気付いただけじゃが」

「調べ、た…?」

「女優のナマエを調べたところで全て非公開の謎の女優とだけでなんの情報もないが、立海に通うみょうじなまえを調べると何て事はない」



ゆっくりと顔を上げたみょうじは、信じられないと言わんばかりの顔をして柳先輩と仁王先輩を見つめていた。

いや、普通に考えていたら調べただけでみょうじが女優のナマエだなんてわかる訳ねぇしな。まぁ、それがわかっちまうのが柳先輩なんだけど。

仁王先輩に関しては、正直よくわかんねぇけど…観察眼がやべぇってのは知ってたし。何より、変装が趣味だからな。



「…それでわざわざあたしにその事を言ったって事は、口止め料でも請求するつもりですか?」

「まさか、そんなつもりはない。ただ、少しだけ気になる事があってな」

「気になる事ですか?」

「うむ、お前が女優である事を隠しているのは出生が原因なのか?」

「……っ!!」

「やはりな。それが確認したかっただけだ、悪いな」



さっきからずっと悲しそうな、なんとも言えない複雑な表情をしてたなまえが柳先輩の言葉にビクリと大袈裟過ぎるくらいに反応した。

あぁ、やっぱり柳先輩の憶測は当たってたらしい。今のみょうじの反応を見れば一目瞭然っつーか…

みょうじは、赤ん坊の時に捨てられて孤児院で育ったらしい。今は、一人暮らしらしいけど…なんつーか女優が孤児院出身とかあんまりいいイメージがねぇからなんとかでプロフィールを非公開にしている可能性があるって柳先輩が言ってたけど、マジっぽい。



「…い、言わないで下さい」

「みょうじ?」

「…言わないで下さい!あたしが女優なのは言い触らされてもいい。だけど、孤児院の事は言わないで下さい。お願いしますっ…!」

「ほー。孤児院の為に女優になったのも当たりみたいじゃな。全く、うちの参謀は怖いのぅ」

「っ、…なんでもします。言わないで下さい」



今にも泣き出しそうな震えた声で必死に頭を下げるみょうじにどうしていいかわからず、チラリと柳先輩を見ると少し困った様に笑った。


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