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柳先輩から聞いた話に正直、めちゃくちゃビックリした。まぁ、憶測だからって柳先輩に念は押されたんだけど間違って無さそうなんだよなぁ。

それと、俺が急にみょうじに話し掛けるのも怪しまれるから控える様にって言われたんだけど…確かにその通りだ。普通に今もみょうじに話し掛け様としちまったけど、今までなんの関わりもなかったのに急に俺がみょうじに話し掛けたら無駄に注目浴びちまう。

…だけど、話してぇし。

あっ、そうだ!いい事思い付いたぜ!


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正直、切原くんにバレた時はもう学校に来れなくなると思った。切原くんを信用してない訳じゃなかったけど、やっぱり不安だったから。

だけど、切原くんはあたしとの約束を守ってくれているらしく…騒がれる事もなく、たまに切原くんから話し掛けてくる事が増えたくらいでいつも通りに過ごす事が出来ている。

それでも強豪と名高い立海テニス部で2年エースの切原くんがあたしに話し掛けているのをやはり不思議に思う人がいるのは事実で、切原くんが話し掛けて来るのが少しだけ怖い。

そんな事を日々考えていた。

そんなある日、あたしの隣の席の子に声を掛ける切原くんの声に本から目を離しチラリとそっちを向くと、あたしの机に寄り掛かりあたしに背中を向けたまま机の上に小さな紙をソッと置いた。

少しだけ驚きつつもすぐにその小さな紙を手に取り、先程読んでいた本の間で広げるとそこには俺の連絡先!話がしてぇ!と言うなんとも切原くんらしいストレートな文と共に切原くんのらしいアドレスと電話番号が書いてあった。

パッと隣の席の子と未だに他愛のない内容の会話をしている切原くんを見るとあたしの視線に気付いたのか軽く振り向くとニカッと笑って適当に話を切り上げて教室から出て行ってしまった。

・・・・か、顔が熱い。

あんなに無邪気な笑顔を向けられたのは初めてだ。正直、切原くんは怒ると怖いとか喧嘩っ早いとか…余り良くない噂が多くて怖いイメージが強かったのに、そんなのを感じさせないくらいの眩しい笑顔だった。

れ、連絡…してみようかな。
あたしと話がしたいって…切原くんが話したい…聞きたい内容は嫌でもわかるけど、それでも無視はしたくなかった。

そしてあたしは、ゆっくりと切原くんの連絡先が書いてある紙を持ってトイレへと向かい、アドレスを打ち込み…切原くんへとメールを送った。





(うおっ!メール来たッス!)
(ほぅ、どれどれ?)
(あ、ちょ!仁王先輩!)
(気遣いありがとう。今日は仕事がないので放課後なら空いてます。…じゃと)
(放課後っつっても、部活あるしなぁ)
(部活終わるまで待てるか聞けばよか)
(え?ちょ、あっ!勝手に返信しないで下さいよ!)
(別にいいじゃろ。減るもんじゃなか)
(減るッス!なんかわからないッスけど絶対減る!)
(お、思ったより返信早いのぅ。待てます。じゃと)
(って!だから携帯返して下さいよ!)
(まーくんも残るかのぅ。話してみたいナリ)
(ちょ、やめて下さいよ!)

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