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その日の夜、いつもの様に風呂から出て牛乳飲んでたから姉ちゃんがついでにビール持って来いとか言い出して、仕方なく冷蔵庫からビールを取り出してソファーで寝っ転がってる姉ちゃんの近くにビールを置いた。
「お、サンキュー」
「自分で取り行けっつーの」
「今、ドラマがいいとこなんだよ!あぁ、私もこんなに愛されたい!」
「無理だろ」
「てか、この女優の子が可愛くてさぁ!!しかも現役高校生らしいんだって!姉ちゃんこんな妹が欲しいからあんた頑張りなさいよ!」
「はぁ?俺は、テニスで忙しっ…!?」
「おい!なにしてんだ!退け、見えねぇだろ!!」
どうせ姉ちゃんがいう可愛いなんてケバケバした厚化粧したいかにも作りましたって感じの顔で、大した事ない女優だろうとチラリと見たテレビに映る顔に思わずテレビに駆け寄った。
い、いやいやいや!嘘だろ!?
退け!と姉ちゃんに蹴りを入れられるが正直それどころじゃねぇ。だって、このテレビに映ってるヤツを俺は、今日見た。
「姉ちゃん!こいつ、なんて名前!?」
「はぁ?ナマエだよ。あんた知らないの?最近、めっちゃ人気の子だってのに」
「現役高校生って学校どこかわかる!?」
「知る訳ないじゃん。つーか、ナマエはプロフィールすらまともに公表されてない謎多き女優で有名だし」
「なんだよそれ!」
「まぁ、事務所の方針なんじゃない?だからバラエティーとかも出ないし。てか、現役高校生らしいってだけだから実際は20越えてたりしてね〜」
そんな事を言いながらビールを飲んでいる姉ちゃんを無視して、テレビに映るナマエという女優を見つめる。
眼鏡掛けてねぇし、髪に至っては色もちげぇし…正直ジーッとはさすがに見てねぇから顔は似てるだけかもで済むかもしんねぇけど、この声は絶対にみょうじだ。
どっかで見た事がある気はしてたけどよ…まさかテレビだとは思ってもなかったっつーか。
いや、でも…マジでみょうじなのか?さすがに信じられねぇっつーか…いや、絶対にみょうじだけど!
やべぇ…めっちゃ気になる!
でも柳先輩が調べておいてやるって言ってたし。それに明日、みょうじに直接聞けばいい話だ。
「なに?あんたもナマエみたいな子がタイプなの?無理無理!こんな可愛い子、そうそう見付からないから!」
「うっせ!つーか、俺こいつ多分知ってるし」
「はぁ?なに言ってんのあんた」
そしてマジで頭大丈夫?と本気で俺を心配してそうな顔をしてる姉ちゃんを無視して俺は部屋に戻った。
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