キミの正体を知った日 (1/4)


うわぁぁあぁ!やっべー!
英語の課題やるの忘れた上に部活に遅れるとかまた真田副部長に怒られる!むしろ、殴られる!!

そんな事を思いながら英語教師から渡された英語の課題を片手に必死に廊下を走っていた。

教室に行ってパパッと適当に課題やって、早いとこ部活に行かねぇと…マジでやべぇって。とりあえず、柳先輩にはちょっと遅れますって連絡入れとこ…多分課題だってバレてるだろうし。

なんて携帯なんか弄りながら廊下を全力疾走してたのがいけなかった。

勢いよく角を曲がった先に、両手いっぱいに本を抱えた女がいた。

もちろん、咄嗟に避けようとはしたけど…前をまともに見てなかった上に全力疾走中だった俺は避けきれず思いっきり女に激突した。



「うわ、あぶねぇっ!」

「えっ…きゃ、…っ!」

「いててっ…わ、わりぃ!大丈夫か!?」



凄い勢いで俺に突っ込まれた女は、全くの無防備で歩いてたらしく散らばった本と一緒に倒れていた。

や、やべぇっ…

さすがに正面からあんだけの勢いで激突した上に相手は女だし…そりゃ吹き飛ぶよな。

自分も勢い余って転んだけど、大した痛みもねぇし…今はこいつの無事を確認しなきゃならねぇ。

急いで倒れたままの女に駆け寄る。とりあえず、なんかスカートが捲れてパンツ見えてたからそこは然り気無くスカート直しといた。

お、俺のせいだしな。



「お、おい…大丈夫か!?」

「んっ…あ、あれ?あたし…」

「わ、わりぃ!俺がぶつかっちまって…頭とか打ってねぇか!?」

「っ…ん、ちょっとだけ」

「マジか…保健室行くか?なんなら運ぶぜ?」



ゆっくりと体を起こした女は、少し顔を歪めながら頭を押さえると大丈夫だよ…と控えめに笑った。

うわっ…すげぇ可愛い。
俺の学年にこんなヤツいねぇし。先輩?いや、こんな可愛い先輩いたら丸井先輩が自慢しない訳ねぇし。なら後輩か?でもなんかどっかで見た事がある気がすんだよなぁ。

そんな事を考えていると俺が心配してるのか不安になったのか、ボーッとしてたあたしも悪いから…とすまなそうに笑った。



「本当に大丈夫か?頭はぶつけたりしたらやべぇって柳先輩が言ってたし」

「え?う、うん…大丈夫。切原くんは大丈夫?本で頭打ったりとか…っ!」

「え、ど、どうした!?頭いてぇのか!?」

「め、眼鏡っ…!」

「へっ…眼鏡!?あ、あったあった!これか?」



急に顔を手で覆ったから何かと思ったら…なんだよ、眼鏡かよ。大怪我させたかと思ったし…マジでビビらせんなよ。

そして本と一緒に落ちていた眼鏡を拾って渡すと眼鏡を掛けた女がゆっくりと顔を上げた。


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