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それにしてもまさかプールに引き摺り落とされるとは思わなかったな。

ぽたぽたと滴が落ちてくる前髪が鬱陶しくて、前髪が掻き上げると隣にいたみょうじがジーっと俺を見ていた。



「…なんだよ」

「綺麗…」

「は?」

「え、あっ…なんでもない。ていうか、日吉くん1人なの?」

「あぁ。教室に用があってな」

「なるほど。その間に雨が降って来て、傘を忘れてびしょ濡れになりながら帰ってたって訳だ」



…半分くらい違うがな。
しかし、説明するのも面倒なので黙っているとみょうじがスーッとまた泳ぎ出す。

…こいつ自由だな。

それにしても制服が張り付いて気持ちが悪い。ゆっくりとプールの中を歩いてプールから上がるとみょうじが寒いから中にいた方がいいよ〜?と言いながらまた泳いで向かって来る。

その姿に綺麗に泳ぐな…と思っていると水面からバサッと顔を出したみょうじが頭を傾げながら向かって来る。



「どうかした?」

「いや、別に」

「そっか。日吉くんは、テニス部だったよね?」

「あぁ」

「ごめんね。風邪引いたら困るよね。こっち来て、男子部員のTシャツとかジャージ残ってるから」



そう言いながら俺の手を引くみょうじになにも言わず後を付いて行き、みょうじに手を引かれてプールを上がりスポーツバッグを持ち更衣室に向かった。

月明かりがあるとは言っても雨のせいでほぼ周りは真っ暗なのにスタスタと歩くみょうじにやはり水泳部だというのは本当なんだなと思った。

そしてここにある物は使っていいからね。と言うと更衣室から出て行くみょうじにまだ泳ぐのか?と思いつつさすがにびしょ濡れのままではいられないので自分の着替えをスポーツバッグから取り出し着替えた。

しかしこう周りが真っ暗だと思うように動けず、着替えが終わったと同時に近くの何かに躓き盛大な音と共に何かが倒れた。

…なにを倒したんだ?
そう思いながら薄暗い更衣室で手探りでそれを直そうとしていると凄い勢いでドアが開いた。



「日吉くん大丈夫!?あたしは慣れてるけど日吉くんは慣れてないもんねっ…」

「大丈夫だ、落ち着け」

「えっ…あ、怪我とかしてない?」

「あぁ、大丈夫だ」

「ならよかった…。あ、懐中電灯ならあるかも…ちょっと待ってて」



そして暫くしてペタペタと素足特有の足音と共に灯りが近付いて来て顔を上げるとそこには、Tシャツと下着のみのみょうじが立っていて思わず顔を反らした。さっきは気付かなかったが…着替えてる途中で来てくれたのか。

そんな俺に大丈夫?としゃがむと足元に散らばっているファイルを適当に退かし始めた。どうやら倒したのはファイルが入っていたカゴだったようだ。


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