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その足でなまえがアパートに行きたい言うて、アパートに来たんやけど…
どうしてこうなった。
「ホンマにええんか?」
「うん」
「ちゅーか、その殺し文句…誰に教わったんや」
「白石先輩と忍足先輩」
・・・・・。
あの先輩等…ホンマに後でシバく。要らん事、なまえに教え過ぎやろ。ちゅーか、あんな事言われたら断れる訳ないやんけ。
しかも今さっきなまえのおかんに挨拶して来たのに、どんな流れやねん。挨拶したからいいやんな?みたいな感じに思われるやんけ。
とりあえず、俺の下で不思議そうな顔をしとるなまえの頭を撫でると更に不思議そうに頭を傾げた。
いや、まぁ…簡単に言うてまうと…なまえからお誘いをされたっちゅー感じやねん。急に布団敷きだしたからなにかと思っとったら…あたしを貰って下さいって…いや、まぁ…誕生日にも言われたんやけど。
しかも先輩等に何を吹き込まれたんか、めっちゃ積極的で…呆然としとったら恥ずかしそうにキスされて…まぁ、押し倒すやろ、そりゃあ。
・・・・・。
「…ちゅーか、今更なんやけどゴムないわ。せやから、」
「貰ったよ」
「…はっ!?」
スルリと俺の下から抜け出すとバッグから小さなポーチを出すとそこからこれ?とあの有名ななんちゃらオリジナルが出て来て、思わず頭を抱えた。
ホンマ…あの先輩等、何しとるんや。暇人か暇人なんか。ちゅーか、人の彼女になんてもん渡してんねん。
…マジで白石部長と謙也さんシバく。これ使っとるの白石部長と謙也さんやし。
「準備良過ぎやろ…ちゅーか、そんなに焦る必要ないやんか」
「先輩達が光くんが喜ぶからって…」
「・・・・・」
「それに…光くんに消して欲しいから」
「…んな事言われたら断れる訳ないやろ、アホ。嫌になったり気分悪くなったら言うてや」
「大丈夫」
とりあえず、先輩等は後でホンマにシバくとして…今は、なまえに集中する事にした。
ちゅーか、可愛過ぎか。
―――
――――
―――――
「…っ、痛ない?」
「んっ、大丈夫だよ」
「ならええけど」
「…っ、光くんっ…」
「なっ、ちょ…どないしたん?気分悪くなったんか?」
「…あたし、今すごく幸せっ…ありがとう」
なんやめっちゃ緊張して、なまえが可愛かった事以外あんまり過程は覚えてへんけど…急になまえが泣き出して焦っとったら…両手で俺の顔を包むように触れると涙を流しながらなまえが笑った。
初めて見たなまえの笑顔は、ホンマに綺麗で…それを見た瞬間、嬉しさからなのかなんなのか…俺の目からも涙が流れた。
ホンマに俺といて幸せって思うてくれとるんやと思ったら、なんや胸が痛くて苦しくなった。
(ひ、ひかるくんっ…?)
(あかん…もう辛いわ…)
(…えっ?)
(俺も幸せ過ぎて、あかん)
(光くん…大好き)
(追い討ち掛けんなアホ)
(んっ、ひかるくっ…)
(ホンマ、離したらんからな)
(うん。嬉しい)
(っ、即答すんなアホ)
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