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俺の誕生日から数日後、俺が行きたい言うた場所に来た。まぁ、来たっちゅーか連れて来てもらったんやけど。
「ここだよ」
「綺麗やな。よう来てたんか?」
「たまに時間がある時に来てたくらいだよ」
「そんな時間なかったやろ」
「買い物に行った帰りとか」
「あぁ…そういえば、ようオカンに頼まれてたなぁ」
ホンマは、もっと早く来ようと思っとったんやけど…なんだかんだでずっと来れへんかったところ。
なまえのおかんの墓参り。
そんな事を考えとる内に手慣れた手付きで花を活けながら俺の言葉に返事をするなまえになんだか不思議な気分になった。
あんな精神状態やったし、全然墓参りとか来れへんと思っとったんやけどちゃんと来てたんやな。
とりあえず、ゆっくりなまえの隣に座って軽く手を合わせてから顔を上げる。
「光くん?」
「挨拶が遅ぉなってすんません。なまえさんと付き合わせてもらっとる財前光言います」
「光くんの事は話してあるよ?」
「ちゃうねん。今日は、なまえのおかんとなまえに言いたい事があってん」
「あたしと母さんに?」
不思議そうな顔をして俺を見つめるなまえの頭を軽く撫でてから、ゆっくりとなまえの手を引いて立たせる。
あかん、普通に緊張するわ。
どうしたの?と俺の顔を覗き込むなまえに深呼吸をしてから向き合う。
「高校卒業したら俺と結婚して下さい」
「・・・・え?」
「ホンマは、なまえの誕生日に言うつもりやったんやけど…なまえが自分をプレゼントとか言うた時にこれは、はよ言わなあかんわと思うて」
珍しく驚いて動揺しているのか瞳がゆらゆらと揺れているなまえにポケットにしまって置いた小さな箱を取り出して、そしてその箱をゆっくりと開けて改めてさっきの言葉をなまえに伝える。
その箱の中身を見つめたまま、固まるなまえに段々と不安になってくる。
めっちゃ迷って選んだ指輪なんやけど…気に入らんかったんやろか。ちゅーか、その前に返事貰ってへんし。
「…あたしなんかでいいの?」
「なんかとか言うな。俺は、なまえやから言うたんやけど」
「…ありがとう。あたしも光くんがいい」
「…おん。ほんで?」
「…よろしくお願いします」
「ハァ…なかなか返事言わへんから無駄に緊張したわ。ほな、手出してみ」
俺の言葉にゆっくり手を出すなまえに、箱から指輪取り出してゆっくりとそれを指に通した。ちゃんとサイズ合っててよかったわ。
その指輪に軽く撫でる様に触れるとなまえがゆっくりと墓石向かって手を見せて、母さん見てと嬉しそうに話し掛けとった。
そんななまえをよそに、俺はなまえのおかんになまえを大切にすると約束をする様にゆっくりと手を合わせてから頭を下げた。
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