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「あ、これは昨日のです」
「ん、ほんなこつむぞらしかねぇ。名前はなんね?」
「メルです。光くんのお母さんとお姉さんと考えたんです」
「いい名前ばい。ばってん元気になってよかったと」
「はい。いつも元気に走り回ってますよ」
「…おい、財前。なんで千歳はあんな近くても怒らないねん」
「なまえが嬉しそうやからッスわ。それに千歳先輩なら信用出来るんで」
今日も騒がしい先輩等と昼飯を食べとるんやけど、千歳先輩が一なまえと一緒に携帯を見ながら仲良う話しとる。
それをなんで千歳だけやねん!ズルいやんけ!とかギャンギャンと謙也さんと金太郎が騒いどる。
千歳先輩は無駄に絡まんし、まず喧しくない。それに猫について話し相手が出来てなまえも嬉しそうやしな。ちなみに金色先輩もあの独特な雰囲気でなまえと仲良うしとる。
「なぁ、財前?」
「なんすか?」
「本気でみょうじさんをマネージャーにする件、考えられへん?」
「部長、前にマネージャーは要らん言うてませんでした?」
「言い方悪ぅなるけど、使えんマネージャーは要らんって事や。応援しかせんマネージャーなら、ギャラリーの子達と変わらんやん」
そう思わへん?と頭を傾げながら薄く笑う部長から目を反らす。ホンマに周りの女子がキャーキャー言うのがようわかるわ。せやから、この人に頼み事されるん嫌やねん。
ちゅーか、俺は別になまえがマネージャーになるんが嫌やな訳やないんやけどな。
チラリと相変わらず、千歳先輩とメルについて嬉しそうに話をしとるなまえを見ると俺の視線に気付いたのか不思議そうな顔をして頭を傾げるなまえにちょいちょいと手招きをした。
そして軽く千歳先輩に頭を下げるとすぐに俺の元に向かって来るなまえに少し嬉しくなるが、今は先輩等がおるから冷静に振る舞う。
「どうかしたの?光くん」
「部長がなまえに言いたい事があるんやと」
「ちょ、財前」
「…?白石先輩があたしに?なんですか?」
「えーと、なんちゅーか…よかったらマネージャーやらへん?みょうじさんがよかったらなんやけど」
「マネージャー?」
「なまえにテニス部のマネージャーやって欲しいんやと」
俺の言葉に珍しく目を開いて驚いとるなまえにどうする?と聞くと少しだけ俺の顔色を伺う様な素振りを見せると、光くんはどう思ってるの?と頭を傾げた。
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