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ほんで、ずっと黙って俺等の様子を見とったオカンがゆっくりと口を開いた。



「なまえちゃん」

「…はい」

「なまえちゃんは、ホンマに光が好きなんやな」

「ちょ、オカン…急になに言い出すねん!」

「なまえちゃんが光を見とる時の目、めっちゃ幸せそうやったわ」



オカンの言葉に思わず、なまえの方を向くとなまえは少しだけ頭を傾げながらぎゅっと手を握る力を強めた。

ちゅーか、ずっと黙ってなまえを見とったと思ったらそない観察してたんかい。

ほんで、オカンがなまえにひとりが寂しいならいつでもこの家に来ればええって話から嫌やなかったら住んだってええんやでとなまえに話した。

…なまえもそうやけど、オカンも大概直球勝負したがるな。



「せやから、今日はよかったら練習のつもりで泊まってってな」

「せやせや!泊まって行き!」

「…相変わらず、強引やな。なまえ、無理せんでええで?」

「うん、無理はしてない。でもあたし…」

「そない心配せんでええ言うたやろ?それに泊まるなら光の部屋やから、安心してええで!」

「……ならお世話になります」

「なるんかい!ちゅーか、なにを思って安心やねん!」



…いや、別になまえがええやったらええけど。ちゅーか、普通に雰囲気に流されてへん?むしろ、オカンの勢いに押されとるだけなんちゃうか。

せやけど、そんな俺の心配をよそにほな服とか持ちに行ってきや!とか言い出すオカンにホンマに展開早過ぎやろと突っ込みたい。

兄貴と義姉に関しては、今日は御馳走にしようや!とか騒いどるし。

…なんや、こいつ等、



「ほな、ついでに歯ブラシとか必要なもんも買って来や」

「あぁ、ほなちょっと動物病院にも寄ってくるわ」

「ちゃんといつ引き取れるんか聞いて来るんやで」

「わかっとるわ。なまえ、行くで」

「あっ…お、お邪魔しました」

「そこは、行ってきますやで。ほな、待っとるから気を付けて行って来てな」

「…はい、行ってきます」



ほんで、いってらっしゃいと手を振っとる義姉と輝に軽く頭を下げてから小さく手を振るなまえに少しだけ嬉しくなった。

最初は、強引過ぎやと思っとったけど…なんだかんだでこのくらい強引の方がええんかも知れんなぁ。

せやけど、そう考えるとやっぱりオカン凄いわ。

そんな事を考えながらなまえの手を引いて歩いた。





(なんや、騒がしくてすまん)
(ううん)
(ホンマに無理してへん?)
(うん、してないよ)
(ならええんやけど。思っとった以上に話せてたな)
(光くん以外の人とあんなに話したの初めて)
(疲れてへん?)
(うん、大丈夫)
(ちゅーか、泊まれるん?)
(うん、あたし頑張る)
(なにをやねん)

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