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結局、なんだかんだでなまえはパニックにもならずオトンや兄貴と話す事が出来た。
オカンと義姉は問題ないみたいやけど、やっぱり男は怖いらしくずっと俺の服握ってた。
「ウチの事は、お姉ちゃんって呼んでええよ?」
「ハンッ、おばはんやろ」
「光くーん?ウチまだ20代やで?ちゅーか、それ言うたら光くんかておじさんやんか!」
「年齢の話や年齢の」
「お、お姉ちゃん…?」
「きゃー!可愛え!なまえちゃんは、やっぱりええ子や!」
「なまえ、無理して呼ばんでええよ。おばはんが調子乗る」
なんや、なまえが無駄に義姉に気に入られてめっちゃメンドイ。ほんで、オトンと兄貴はなまえを怖がらせたくないんか知らんけどめっちゃ遠くからこっち見とるし。
オカンはオカンで、目の前でただジーっとなまえを見とるし。
ちゅーか、さっきから甥の輝(あきら)がめっちゃなまえの服引っ張ってて、なまえが困っとるんやけど。
「輝、さっきからなんやの?」
「おねぇちゃんだっこ」
「俺がしたるから我慢しっ…」
「えっ…わ、わぁ…思ったより重たい」
「なんや、おねぇちゃんめっちゃええにおいする!おれ、すき!」
「おい、離れろや」
「ひかるにーちゃん!おねぇちゃんちょーだい!」
「アホ、誰がやるか!」
抱っこするとも良いとも言うてへんのに、輝は椅子に座っとるなまえの膝の上に勝手に乗って抱き付いとる。
ほんで、輝の発言に兄貴と義姉がゲラゲラ笑っとるが、笑い事ちゃうわ。なにサラッと人の彼女取ろうとしとんねん、こいつ。
なんやこの恐ろしい四歳児。
せやけど、輝にぎゅーっと抱き付かれとるなまえは別に嫌がる素振りも見せんでぎこちない手付きで輝の頭を撫でとった。
あかん、なんかホンマに輝に嫉妬しそうなんやけど。
ちゅーか、俺かてまだ頭とか撫でられた事ないんやぞ。なに一番乗りしてんねん。
「あ、おねぇちゃんけがしてる。ここ、いたい?」
「…ううん。痛くないよ」
「輝ー?そろそろなまえちゃんが疲れてまうから降りや」
「せやで、自分のオトンに肩車でもして貰えばええやんか」
「かたぐるまー!」
「ほな、ウチもあっち行ってくるわ」
ほんで、やっと空気を読んだのか義姉とオトンが入れ替わるようにオトンがオカンの隣に座った。
せやけど、オトンが大丈夫なん?ホンマに大丈夫なん?みたいな顔しとってなんや締まらん。
まぁ、大分なまえも慣れて来たみたいやし…大丈夫やろうけど、なんだかんだで不安やしなまえの手を握ると素直にぎゅっと握り返してくれた。
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