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あかん…家の前まで着いたんやけど、なかなかドアが開けられへん。ちゅーか、なまえが不安そうに俺の服引っ張っとるし。

やっぱり、やめた方がええんちゃうか。

そない事を考えとったら急に玄関のドアが開いてオカンが俺の腕を引っ張った。


「あぁ、もう!いつまで玄関におんねん!はよ、中に入りや!」

「ちょ、オカン!」

「自分が光の彼女やんな?」

「…はい。あの…みょうじなまえです」

「なまえちゃんな。とりあえず、中に入ってや」

「は、はい…」

「光、あんたはしゃんとしいや!」

「うっさいわ!心の準備しとったんや!」



急にオカンが現れてなまえの表情が一瞬強張るが、オカンに頭を撫でられるとビックリした様な顔をしてうつ向いてもうたなまえの手を引いて家ん中に入った。

ほんで、リビングに着くとなまえがぎゅっと手を握る力を強めて不安になりなまえを見るとぎゅっと固く目を瞑っとった。

…やっぱりまだ早かったみたいや。ゆっくりとオカンとオトンを見るとオトンが俺のせいか!?みたいな顔したと思ったらオカンがズンズン近付いて来て咄嗟になまえの前に立ったんやけど、普通に突き飛ばされた。

なにすんねん!とバッとすぐにオカンの方を向くとなまえがオカンに抱き締められてて思わず、目を見開いた。



「大丈夫や。なーんも怖ないで?おばさんは、まだなまえちゃんの事よう知らんけどそない怯えんでええんよ。なまえちゃんはなんも悪い事してないんやから」

「……っ、…ご、ごめんなさい…」

「そこは、ごめんなさいやなくてありがとうやで」

「…あ、ありがとう…ございます…」

「辛かったやろ。でも大丈夫やで、今のなまえちゃんには光がおるやろ」



ちょ…オカン、最強か。
ちゅーか、どんだけやねん。

なまえが暴れたりせんかったからええけど、いきなりそれはあかんやろ。

後、地味に俺にプレッシャー掛けんのやめてや。まぁ…もちろん、なまえの傍におるつもりやけど。

そんでオカンがゆっくりとなまえを離して優しく頭を撫でるとその瞬間、なまえの目からポロポロと涙が落ちた。



「……っ、光くん以外の人に撫でて貰ったの初めてで…嬉しいです」

「ほな、ウチも撫でたる!」

「おぉ、なら俺も撫でたるで!」

「ちょ、やめろや!兄貴とオトンは必要以上に近付いたら怒る言うたやろ!」

「光くん…ありがとう」

「はっ!?」

「…今、すっごく温かい」



そんな事を言いながら少しだけ目を細めて泣いとるなまえを抱き締めるとオカンにしっかり守ったりと背中を叩かれた。

普通に痛いわ、アホ。


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