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ほんで、最近はみょうじが寝たんを確認してから帰る様にしとる。もちろん、合鍵なんて持ってへんし外から鍵閉めたらドアポストから玄関に鍵落としとく様にしとる。

みょうじもそれでええって言うて別に嫌がらんし。それに寝るまで俺がおれば、ふらふらどっか行く心配あらへんし。

せやから、最近は公園にもほとんど行ってへん。昼間はふらふらしとるから、動物病院の帰りとかに行ってそうやけど。


んで、今日はみょうじが早めに寝たからいつもより早く家に帰って来るとオトンはまだ帰って来てへんみたいやった。

…ちょうどええわ。



「ただいま」

「おかえり。なんや、あんたがリビングに顔出すなんて珍しいなぁ」

「オカンに話あんねん」

「ん?なんや、改まって」

「この間、学校で暴力沙汰起こしたっちゅー連絡あったやろ。それと彼女の事なんやけど」

「あったなぁ。ちゅーか、光が自分の彼女の話するとか…あんたまさか!妊娠させとかちゃうやろな!」

「させるか、アホ。真面目に聞けや」



いつもならただいま言うてすぐに自分の部屋に行くんやけど、今日はリビングに顔出して、テレビ見ながらお茶啜っとるオカンに話し掛けた。

…あぁ、あかん。
めっちゃ言いたないわ。

さすがに俺の顔を見て何かあったと感じたんか、どないしたん?と本気で心配そうな顔をするオカンに少し決心が鈍る。

せやけど、俺だけじゃどうにも出来ひんし。ずっと黙っとる訳にもいかん。



「俺の彼女…めっちゃ問題抱えとる子やねん」

「問題って、病気かなんかなん?」

「…っ、あんな今から話す事…全部ホンマの事やねん」

「ええよ、話してみ」



正直、ずっとみょうじの事をオカンに話すのが怖かった。いくら、みょうじが悪くない言うてもやっぱり世間の目がある。事情を知らん人から見たら、自傷しとるみょうじは異常なヤツやと思われる。

そない子と付き合っとるいうて、俺が色々言われるんは別にええ。せやけど、オカンとかオトンはそうもいかへん。

今はまだそこまで騒がれてへんけど、元からいい噂がないみょうじと付き合っとるってなって周りになんか言われるんは俺だけやなくてオカン達や。

それでも俺は、みょうじと一緒におりたい。せやから、オカンとオトンにはちゃんと話とかなあかんと思った。


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