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ほんで、いつもの様に部活を終わらせて着替えとると今日の昼休みの事で謙也さんが絡んで来た。
ちゅーか、そんなに俺が誰と飯食ったのかが気になるんか。どんだけやねん。
「みょうじっちゅーヤツッスわ。先輩等も名前くらい知っとるんちゃうん?」
「みょうじって…あのみょうじ?」
「多分、そのみょうじッスわ」
「援交やら不倫しとるって噂のある子やんなぁ?なんでそないな子と光きゅんが?」
「そない噂ある子なん?俺、みょうじ言うたら事故に遭った子ってイメージやねんけど」
「俺もそっちのイメージやったわ…」
謙也さんの言葉に噂好きの金色先輩が反応したんは別によかった。せやけど、白石部長の"事故"っちゅー単語に思わず着替えをしとる手が止まる。しかも謙也さんも知っとるみたいやし。
むしろ、普通に悪い方の噂で知っとると思っとったからまさかの事故の事を言われて驚いとる。
ちゅーか、そんな有名な事故やったんか?せやけど、そうやったらみょうじは元から色々と噂されとったし、俺も知ってるはずや。
「え、事故ってなんなん?」
「知らんの?せやなぁ…今からちょうど1年前くらいやな。俺と謙也が一緒に遊んどってな…近くで事故があったんや」
「…ほんで、俺がオトンに聞いたらお前と同じ四天宝寺に通っとるみょうじって子やって言われてん」
「俺も数日後、オカンに色々聞かされてなぁ…母親は娘庇って即死やったって聞いたで。せやから、みょうじって聞くと俺は事故の子やと思ったんやけど」
「一応、ニュースにはなったみたいやけど…そん時、連続通り魔殺人とかで騒いでたやん?せやから、多分みんなそっちに気取られとったんちゃう?」
「あぁ、あったなぁ。やたら帰り気を付けろって言われてた時期やな」
…確かに、そないな事件あったわ。毎日毎日、そのニュースばっかで見るのもメンドイとか思って見てへんかったし。そもそも、俺はあんまテレビとか見いひんし。
それに娘庇って即死って。それって…つまりみょうじは目の前で母親が死んだん見たって事やんか。
だからあいつ、あたしのせいで…とか言うて母親に謝ってたんか。
「…なぁ、財前はその子と仲ええん?」
「席が隣ってだけッスわ」
「せやけど、今の話知っとったみたいやんか。ニュースで知ってたって顔ちゃうし」
「…………」
「噂は嘘やろうけど、可哀想とか同情で仲ようしとるならやめた方がええと思うで」
「し、白石!言い方っちゅーもんがあるやろ!」
「俺は、そんな善人ちゃうッスわ」
俺は、別に可哀想とか同情で一緒におる訳やない。それはだけは違うって言い切れる。
それに白石部長が言っとる事は間違ってへん。
…せやけど、気分悪いわ。
そんな事を思いながら手早く着替えを終えて、ほなお先にとすぐに部室を出た。
※財前退室後の部室
(蔵りん…どないしたん?)
(なにがや?)
(あんな言い方、蔵りんらしくないやんか)
(光、めっちゃ機嫌悪そうやったで?)
(ちゅーか、その子どんな子なん?)
(なんや、ケン坊も知らんのか)
(援交とか不倫とか噂される様なヤツやろ?顔がええとかそんなんちゃうん?)
(顔は可愛えかも知れんけど、無表情やで)
(…謙也、さっきからなんちゅー顔してんねん)
(いや…なんでもあらへん…)
(なんか知っとるんか?)
(謙也も事故に遭った子って事しか知らんよな)
(…おん。せやで)
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