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みょうじは、母親に"どんなに辛くても一生懸命生きような"って約束したからって言うてたけど…生きとる確認せなあかん状態ってどうなん。

辛いとかそういうレベルちゃうやん。せやけど、こいつなりに一生懸命生きようとした結果がこれなんやろうな。

生きた心地がしないなんてよく言うけど、こいつは常にその状態なんやろうな。せやから、生きとる確認せなあかん。

ちゅーか、母親との約束なかったら多分…こいつ死んでたんやろうな。今のこいつにとって、母親との約束の為だけに生きとるっぽいし。



「なぁ、みょうじ」

「………?」

「確認した時と公園おる時とか…なんかあったら連絡するって約束してくれへん?」

「……どうして?」

「嫌なん?」

「……財前くんはどうしてあたしに関わるの?みんな…あたしに近付くのも嫌がるのに」

「正直それは自分でもようわからんけど、俺はお前とおっても別に嫌やないからおるだけ」



ちゅーか、同情だけやったらこない世話焼かんし。ただ大変やなぁ〜可哀想やなぁ〜って思うだけで終わるはずや。

好奇心とはいえ、俺から話を聞いてもうたから気になるんも大きいんやろうけど…話を聞いたからには俺がなんとかしてやらなあかんとかは今は正直思っとらん。

まぁ、ちょっと前までは少し思っとったけど。それに興味本意で聞かなきゃよかったとか後悔しとったしな。

せやけど、今はなんやろうなぁ…ホンマにようわからんけど、まぁ一緒におっても嫌やないってのが一番の理由やな。こいつ、うるさくないし。

俺が何か聞けば答えるけど、自分からは基本的になんも話さんし。同情されたいが為に話したりしとる訳でもないしな。



「……嫌じゃない?」

「ちゅーか、それ前にも言うたやろ。俺そない物好きやないわ」

「あたしも嫌じゃないよ」

「……おん。ほな、約束してくれんの?」

「…約束、する」

「ほな、小指出してみ」

「………?」



俺の言葉にみょうじが頭を傾げながらも小指を立てたのでそれに自分の小指を絡めて柄にもなく指切りした。

それをジーッと見ていたみょうじは、俺が小指を離すと約束…と小指を擦りながら呟いとるみょうじの頭を軽く撫でた。

それに少し驚いたのかゆっくりとこっちを向いたみょうじは、頭に乗った手と俺の顔を交互に見た。



「…温かい」

「は?」

「財前くんは温かい」

「いや、俺体温低いんやけど」



せやけど、なんやようわからんけど嫌がる訳でもなく満足そうに小指を擦っとるみょうじは相変わらず無表情なんになんでか可愛く見えた。

そしてこの日からみょうじと俺は、何かを約束する度に指を切りをする様になった。


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