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ほんで、俺が弁当食べ終わったのにみょうじはまだゼリーを持っとる。食べるん遅いっちゅーか、10秒チャージが泣くレベルの放置プレイやし。どんだけ時間掛けとんねん。



「朝と夜は自分で作っとるん?」

「うん」

「ほーん…意外やな。ならなんで昼はそれなん?」

「美味しくないから」

「は?」

「味がしないから…だから生きていける最低限でいいの」



あぁ、こいつ一人だとまともに飯が食えないんか。そりゃあそうか…母親しかおらんで、ずっと母親と2人やったんやろし。

ちゅーか、生きていける最低限ってどないな量やねん。むしろ、自分で作っとる言うても白米と味噌汁だけとか言い出しそうや。

…ホンマにこいつよう生きとるな。なんや、母親の生命保険やらなんやらで金はあるみたいな事言うとったけど…親が駆け落ちして身内居らんみたいやし。一人で生活出来とるんか。

母親の友達が色々やってくれたらしいけど、自分がいたら不幸にさせるって引き取りも断った言うてたし。

そういえば、ずっと気になっとった事があったんやった。



「なぁ、前に公園で会った時に逃げてきた言うてやんか。何かから逃げてたん?」



あん時は、虐待されとると思っとったから親から逃げて来たんかと思ってたんやけど。一人暮らしやったら、何から逃げてきたんやって話やし。



「…家にいても母さんは絶対に帰って来ないから」

「一人でおるんが嫌やからって事か。いつもちゃんと帰っとるん?」

「うん。お風呂とご飯は食べないとだから」

「せやけど、公園よくおるんやろ」

「眠くなったら帰るの」



あかん…こいつ、俺が思ってた以上に意味わからん生活しとるわ。ちゅーか、こいつの口振り的にあの公園にいつもおるっぽいし。普通に危ないんちゃうん?あの公園の近くは、元からかあんま人とか通らんし。

一人は嫌やけど、公園で過ごすんは大丈夫なんか。まぁ、母親と住んどった場所よりは辛くないって程度なんやろうけど。

相変わらず、話はしとるけどボーッとどこかを見とるみょうじの頭を手を乗っけてグイッとこっちを向かせる。



「………?」

「ほな、公園おる時におるって連絡してや。相変わらず、確認のメールは1回も来てへんけど」

「…ごめんなさい」

「謝るなら連絡しろや、アホ。ほれ、手当てしたるから腕出してみ」

「…見せたくない」

「は?今更なに言ってんねん」

「財前くんに…嫌な思いさせたくない」

「……アホか。それが今のお前にとっての生きとる確認なんやろ?せやったらしゃーないやんけ」



多分、今の俺が辞めろいうても絶対に辞めへんし。むしろ、今の俺にそない事言う権利ないし、そんな無責任な事言えへん。

それに今のこいつからこれを取り上げたらホンマにこいつが死にそうで怖い。


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