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そのまま無言で俺を見つめるみょうじにさすがに堪えられなくなった俺は、ゆっくりとみょうじの元に向かった。
相変わらず、無表情で俺を見上げるみょうじに外さへんのと包帯を指差す。
「見たらきっと後悔する」
「見られたくないんやったらそう言えや」
「そうじゃない」
「ええから外すんやったら外せや」
「わかった」
そう言うと再び包帯を外し始め、すべての包帯が外れスルリと血濡れの包帯が地面に落ちた。
…嘘やろ。
包帯が外れたみょうじの腕を見て言葉を失う。
そこには、真新しいモノから古傷まで生々しい切り傷が数え切れない程あった。
そして慣れた手付きで制服のポケットから新しい包帯を取り出すとみょうじがゆっくりとこっちを向いて頭を傾げた。
「…見なければよかったって顔してる。もうあたしには関わらない方がいい」
「お前…親に虐待されてたんやないんか」
「…っ!母さんはそんな事しない!母さんは、ずっとあたしを大切に…大事にしてくれてた!なんでっ…なんでそんな事言うの!」
急に立ち上がり俺に詰め寄るみょうじは、怒っとるみたいやけどその顔は無表情のままやった。
そして母さんは…母さんは…とうつ向いたまま呟くみょうじにとりあえず、すまんと謝る。なんやようわからんけど、こいつにとってオカンがめっちゃ大切なんはわかった。
ちゅーか、なら胸元にあった古傷はなんやねん。ゆっくりと未だにうつ向いたままのみょうじを見ると、相変わらず腕の傷がグロい。それに、よう見ると切り傷以外にも爛れた様な痕まであるし。
「とりあえず、包帯しなくてええんか?さすがにそのままは、あかんやろ」
「……………」
「…オカンの事は悪かった言うてるやろ。あぁ、もうメンドイわ…俺が巻いたるからそれ貸せや」
うつ向いたままのみょうじの手から包帯を取り、傷だらけの腕を掴むとみょうじがバッと顔を上げて俺を睨むように見上げたがそれを無視する。
ちゅーか、このまま直接包帯巻くんよくないんちゃうん?なんや、まともに手当てされてなさそうやし。そんな事を思いながらジワジワ血が滲んどる傷口を見とるとみょうじが腕に力を入れた。
それにしてもエッグいわ。
まぁ、俺は別にグロ耐性あるから全然平気やけど。これを自分でやっとると考えると相当こいつヤバいんとちゃうん。
そんな事を思いながら、適当に手当てすんならちゃんとしといた方がええと思うてしゃーないからこいつの腕を引いて部室に向かった。
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