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立海と四天宝寺のメンバーが見えなくなってから、んぐんぐとうるさいなまえの口から手を退かして、なまえの顔を見つめると不安そうになまえがうつ向いた。
「ご、ごめん…怒ってるよね」
「…怒ってないってば。それより、切原になんか言われた?」
「え、きりはら?誰?」
「黒いもじゃもじゃした髪の毛のヤツ」
「あ、アドレス教えてって言われて、でも携帯壊れてるからって言ったらメモくれた」
ほら、と小さな紙切れを見せるなまえから紙切れを取って自分のポケットに仕舞う。ていうか、俺の彼女って知っててやるからタチ悪いよね。
なまえは、切原の事なんて知らないし…警戒心ないから受け取っちゃったんだろうけど。
後で切原には、文句の電話してやろ。何十通もカラメするのもいいかもしれない。
「…まぁ、切原には連絡しなくていいから」
「でも深司の友達でしょ?色々、聞きたい!」
「…どんな理由だし」
「アキラに聞いてもあんまり教えてくれないんだもん」
「…何が聞きたいの?」
「い、色々!」
…まぁとりあえず、まだ試合には時間あるから…適当に座れる場所に行こうかな。その前にもう1回アキラに連絡しとこ。
それでなまえの手を引きながらアキラになまえの無事と少ししたら合流する事を伝えて、人気が少ないベンチに座った。
なまえは、相変わらずキョロキョロと挙動不審だけど…特に怪我とかもしてないみたいだし、よかった。
「ねぇ、なまえ?」
「ん、なぁに?」
「…さっきの話の続き、聞きたい事ってなに?」
「い、色々だよ!」
「…俺の事なんでしょ?なら俺に聞けばいいじゃん」
「は、恥ずかしいんです!」
「…え、なにを聞くつもりだったの」
そんな恥ずかしい事を切原に聞こうとしてたの?え、やっぱりバカなの?むしろ、本当になにを聞くつもりだったの。
隣でモゴモゴと口籠ってるなまえをジーっと見ると、違う!違うんだよ!とかなんとか言いながら手をブンブンと振っている。
しかもなんでか顔赤いし。
そんな恥ずかしい事を切原に聞くつもりだったのがちょっと腹立つんだけど。
「…し、深司はあたしの話とかしてるのかなって!き、気になったの!」
「…は?」
「ん〜〜〜っ!だって深司があたしの事どう思ってるのか気になるじゃん!」
「いや、どうって…好きじゃなかったら付き合ってなっ」
「ちっがーう!!そういう事じゃないよ!可愛いとか…可愛くないとか…」
あぁ…やっぱりなまえはバカだった。
最近、ヤケに髪形変えたとかメイクするーとか言ってたのはそういう事ね。
ていうか、そういうところが可愛いんだけど。
相変わらず、なまえには色々と不安しかないけど…本当に俺が好きなんだなぁって思ったら、なんか切原とかどうでもよくなった。
(ど、どうなの?)
(さぁ?)
(えぇ!今日、髪形可愛くしたのに!)
(うん、いつもと違うね)
(そんな反応望んでないよ!)
(…嘘、可愛いよ)
(お、おぉ…ありがと)
(だから今度から禁止ね)
(えぇ!頑張ってるのに!)
(他のヤツに見せる必要ないし)
(…っ!深司ズルいんだけど!)
(え?なまえが可愛いのが悪い)
(そういうのサラッと言うなし!)E N D
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