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…なんでもかんでもすぐに顔に出るのも考えものだよね。
ゆっくりとなまえの頭を撫でて体を離す。
「…もうわかったから…そんな嬉しそうにこっち見ないで」
「な、なんで!嬉しいんだからいいじゃん!」
「…とりあえず、帰るよ」
「えっ…」
「…すぐ帰ったりしないから、そんな顔しないでよ」
もう…さっきから喜んだり悲しんだり…本当に忙しいな。ほら…と手を差し出せば、嬉しそうに俺の手を握るなまえは、まるで子供みたい。
とりあえず…前に行った公園に行こうかな。まだ明るいし…なまえは帰りたくないみたいだし。
まぁ、俺もなまえといたいし…ゆっくり出来るならどこでもいいんだけど。
「ねぇ、深司!」
「…なに」
「あたし返事貰ってない!」
「…………」
「深司が好き!の返事っ…」
「っ、わかったから…本当に1回ちょっと待って…」
「う、うん?」
…相変わらず、バカだ。
いや、まぁ…確かにまともな返事はしてないけど…俺の方が先に好きだったって言ったよね?ていうか、それで無駄に喜んでたじゃん。
ていうか、せっかち過ぎるでしょ。
そして前に来た公園に着いて、とりあえずなまえをベンチに座らせる。
「…ハァ、なんか疲れた」
「あ、合宿大変だったんだもんね…急にごめんね」
「…別にいいよ。なまえだし」
「う、うん?」
「…それで返事だっけ?ていうか、さっきのでわからない訳?本当にバカなの?」
「う、うるさいな!どうせバカだよ!」
「…うん、知ってる。だから…んっ…これでわかった?って、え…無反応?」
ぷんぷんと怒ってるなまえの手を引いて触れるだけのキスをすればそのままポカンとした顔のまま動かなくなる。
え、大丈夫…これ?
不安になって軽くなまえの頬に触れるとボッと効果音がしたかの様に一気になまえの顔が赤くなってバッと手で顔を隠した。
「っ…ま、待って…やだ、は、恥ずかしいっ…!深司のバカ!」
「…なんで顔隠してるの」
「やっ、ちょ…やだやだ!今、凄い顔してるから!ブスだからっ…あっ!」
「…え?ムカつくくらい可愛いけど」
「…〜〜〜っ!ばか!そこはいつもみたいにブスって言ってよ!ばかばーか!」
「…はいはい。それで返事はわかったの?わからないならもう1回するけど」
「…わかったけどする」
…………。
もう…本当に勘弁して。
俺が意地悪したはずだったのに…恥ずかしそうに顔を反らしながらそんな事を言うなまえに今度は俺が顔を隠した。
(え、深司?)
(…ちょ、見ないでよ)
(え、なんで深司が照れてんの?)
(…うるさい)
(え、してくれないの?)
(…絶対しない)
(そ、そんなに嫌か!)
(じゃあなまえからして)
(っ…わ、わかった!)
(やめて…やっぱりしないで)
(ちょ、なんでっ!!)
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