三年間想いつづけて、ゆっくり培ってきた恋心は彼のごめんということばで一瞬にして砕けてしまった。われたガラスみたいに粉々になったわたしのこころは光も音も届かないような奥ふかくまで沈み、苦しすぎてあやうく息が止まりそうになった。だけど、とりあえず今だけは、彼が目の前にいる今だけは無理矢理にでも笑わないと、「大丈夫、気にしないで」って言わないと、という気持ちがさいごのさいごで働き、わたしは泣きそうになりながらも必死に笑った。

べつに嬉しくもないのに無理に笑うということは正直つらいことだった。けれど、わたしはそんな痛みもいとわないくらい、あなたのことがとてもとても、たぶん誰よりもだいすきだった。赤司くんのいいところを言い出したらキリがないけれど、優しいところも、目を細める笑い方も、呆れた顔も、プレイのときに見せる真剣な目も、あたまを撫でてくれる手も、ぜんぶぜんぶだいすきで、ひとつひとつに焦がれていた。ううん、過去形なんかじゃない。きっといまもだいすきで、焦がれているままだ。彼の言葉ひとつでじぶんが好きだったものをすべて嫌いになれるほどわたしはできた人間ではなかった。

「いまは部活がいちばん大事だから」そんな月並みなことばでも彼のことばになってしまうと妙に納得させられてしまった。いまの彼を構成するものはきっとバスケットと将棋と絶対的な勝利だけでちっぽけでなんの取り柄もないじぶんは彼の世界に一ミリも含まれてないんだということを嫌というほど痛感させられた。

それに引き換え、わたしの三年間のおもいでは悔しいけどほぼ赤司くんで構成されていた。目を閉じるといつも彼がいちばんに浮かんできた。わたしはこのすこしほろ苦いおもいでを受け入れることはできてもこころから愛することはきっと一生できないままだろう。でも、それでもこのおもいでたちを忘れてしまわないよう、きらきらとかがやく宝石箱に永久に保存したいとおもうのはわがままで、弱くて、間違っている考えなのだろうか。こんなこと、ばかなわたしには到底わからない問題だった。あ、でももしかしたら頭のいい赤司くんならわかるかもしれないなあ、とわたしは無意識のうちにまた彼のことを考えてしまい、無性に悲しくなった。

とにかく、学生の恋はひたむきでみずみずしくて未完成。わたしの初恋はまさにそれだった。
















































120813