Fresh every day .

この島に停泊して三日目、今日は特に何もやることが無かったので船尾で一日中寝ているといつの間にか待ちに待った夜が来ていた。そのことにギョッと驚いた俺は急いで飯を掻き込み街灯の明かりの中を走り出すと船の中から聞こえてくる仲間たちの騒ぎ声がここまで響いてきて何となく心強くなった。早く、もっと早く走れ俺。大きく足を動かして、自分から会いに行きたいんだ。早くあいつを一目見たいんだ。

勢いよく走ったかいあって案外早めにバーに着くことが出来たがはあ、はあ、と息を切らしていたので手で汗を拭い、息を整えてからバーのドアを開けた。

「よお」

転がっている酒瓶を避けながらなまえの隣に腰をかけたが当のあいつはカウンターに突っ伏したまま微動だにしなかった。な、なんだこいつ…と不審に思った俺はゆさゆさとなまえを揺すってみたがそれでも反応はなかった。

「…寝てやがる。」

はあ…、とホトホト呆れた俺はとりあえず隣で寝息を立てているなまえの方向を向きながら頬杖をついた。ちくたくと秒針が進む中、ただ待っているのも暇だったのであいつのまじまじと顔を眺めてみるとこいつが以外と整った顔していることに気が付いた。だって色白だし睫毛も長いし鼻筋もスラッとしているし唇も綺麗だし…ん?でもこいつ、目の下に少しだけ隈が出来てるな。もしかして疲れていたのか?……ま、そりゃそうか。毎日酒や食べ物を仕入れたり、客の為に料理を振る舞ったり客の相手をするのが朝から晩まで続くんだもんな。大変に決まってるよな。

「………」

「スー…」

「まあ…おつかれ。」

俺は椅子にかかってたブランケットをあいつにかけてやり店を出た。とりあえずもう今日はこのまま帰ろう。また明日、また明日会いに行けばいい。まだ時間はたっぷりある。



砂糖菓子の森をひた走る

100825