Concealed real intention.
この島に停泊してから十四日目、俺は一日中なにをしててもぼんやりしていた。
「エース船長!」
「……」
「ちょ、エース船長!聞いてます!?」
俺は船員たちが呼んでもロクに返事すらできず、ずっと上の空だった。まあ…言わなくても分かると思うが原因は昨日のことだ。
昨日見たあいつの涙が頭から離れない。
いや…でも、これでよかったんだ。言い方は少しきつかったかもしんねえけどあいつは絶対俺という存在に堪えられなくなる。俺はあいつの為にそう言ったんだ。うん、きっとそうだ。そうに決まってる。
「そんなことない。」
昨日なまえが俺に向かって放った言葉が蘇る。なんでそう言い切れる。ほんと、なんでそう言い切れる。
「…っ」
とうとう堪えられなくなった俺の目から突然涙が溢れてきた。自分に向けられたなまえのまっすぐな言葉がひどく怖くて、あいつが自分にいつ失望するか無意識のうちに恐れていたから、俺は自分からあいつを拒絶した。
そんな醜い本心を俺はずっと押し殺していたのだが涙と一緒に溢れてきた。気持ちが重いのは俺だった。一番臆病者なのは俺だった。
自分が傷つくのがもう嫌で、辛い想いは二度としたくない。だから俺は勝手にありもしない未来に怯えて大切なあいつを傷つけた。