Soft morning that is with person who loves . ヒバリのかわゆいさえずりでゆっくり目を覚ますと、隣ですやすや寝息をたてているサンジくんがぼんやりと視界に入った。わたしはしばらくその綺麗な寝顔を見つめていたが、突然なんとも言えない愛おしさがじんわり心に広がったので、思わず絹糸のような髪の毛を撫でてしまった。 「んん…」 髪の毛を撫でられたサンジくんは一旦擽ったそうに身をよじったがまたすぐ気持ち良さそうに眠り始めた。わたしはシーツからするりと抜け出し、静かに窓を開けに行くとスルリと冷たい風が頬を掠めた。 とりあえず写真でも撮ろうかなと思い、真っ白い固形石鹸のようなデジカメをそっと持ち出してゆっくりとベランダに出た。すると案の定、外にはまだ人っ子一人おらず、そこはまるでカンブリア紀の海の底のように静かだった。目の前に見える朝日はまだ完全に昇りきっていなくて、薄い紺と淡いオレンジの柔らかなコントラストがとてもとても綺麗だった。 「うわあ…」 目の前に広がる景色は思わず感嘆の声を漏らしてしまう程美しかった。地平線から少しだけ見える朝日はまるで魔法の宝石のようにキラキラと揺れ、思わずこのネグリジェのポケットに詰め込みたくなるほど魅力的なものだった。 わたしはこの素晴らしい景色を写真に収める為に早速カメラを構えると、突然後ろから誰かに「ワッ!」と驚かされ、ポンッと背中を押された。 「う、わ!サ…サンジくん!」 「おはよう。」 「あ、おはよう!…ってそうじゃなくて!もう、急に驚かさないでよね!」 わたしがぷんすかしながらサンジくんに抗議をすると彼はニシシと悪戯っ子のように笑いながら「あ、もしかして怒った?」と聞いてきた。 「まあ…ちょっとだけ、ね。」 「ははっ、ごめんごめん。つい。」 「ついって…もう…」 「まあまあ。…ところでさ、君は何をしているの?」 「ん?…ああ、今ね、この綺麗な夜明けの風景を撮ろうと思ったの!」 「…あ。そのデジカメ。」 「ん?どうかした?」 わたしがカクンと首を傾げるとサンジくんはこれまた可愛らしくにまにまと笑い出した。 「データ、見てごらん。」 サンジくんが指でデジカメを差し、いきなり訳分からないことを言ってきたのでわたしの頭上にはポンポンとハテナマークが浮かんできた。が、とりあえず彼の言う通りにデータを見てみるとそこには 「あっ…あーっ!!」 わたしの寝顔の写真が入っていた。 「どう?うまい?」 「なっ…!ななななんで…!」 「ん〜?昨日の君の寝顔が余りにも可愛かったもんだらさ、思わずパシャッと。」 丁度昇ってきたダイヤモンドのような朝日に照らされているサンジくんの素敵すぎる笑顔と破壊力抜群な言葉に、わたしの心はいとも簡単に爆発寸前になってしまった。 「〜っ!…もう!サンジくんってばずるい!」 「ん、なんで?」 「うー…だ、だって…サンジくんはいっつもサラッとかっこいいことを言って簡単にわたしの心を盗んでいっちゃうんだもん…。わたし、そんなんじゃサンジくんのこともっと好きになっちゃうよう。」 「……」 「な…なに?」 「っ!!く〜っ!もう、俺のプリンセスは可愛すぎるなあほんと!だいすきだっ!!」 なんてこっ恥ずかしいことを叫びながらギュムッと抱きしめてきたサンジくんに対してわたしは「う…うるさい!」と可愛くない言葉しか言えなかったけど、彼の腕の中はまるで天国のように居心地がよかったので、言葉では言い表せない程大きな大きな幸せを噛み締めていた。 |