わたしはあなたのことが、

「すき」

ものすごくぶっきらぼうだけどなんだかんだいって仲間思いなところやたまに見せるこどものような無邪気な笑顔がすき。いつも愛用している上等なスーツから微かに香ってくるセブンスターの匂いや顔を近づけるだけでこそばゆくなるおしゃれなあごひげもすき。自分はよく無茶をするくせにわたしが無謀なことをしようとするとすぐ怒るところや喧嘩したら必ず先に謝ってくるところだってすき。意外とサプライズ好きなところとか呆れたような、あの笑い方とかも

「すき」

あなたの見た目も中身も全部すき。愛しすぎて涙が溢れるくらい、

すきなの

「ねえ次元、」

「あ?」

「わたしあなたのことがすきなの。何回言ってもたりないくらい、すき。」

「へえ、そうかい。なら俺の勝ちだな。」

「へ?なん…」

のはなし?と続けようとしたことばは呆気なく次元の唇に飲み込まれてしまった。

「俺はお前のことを愛してる。なににおいてもお前がいちばんだ。」

勝ち誇ったような顔をした彼が紡いだそのことばはとてもシンプルで他の人が使うような陳腐な「愛してる」とは似てもにつかない、崇高な感じがした。彼の薄い唇から滑り落ちた甘くて芯のあるそのことばはわたしが言うことばよりずっと強力なものだった。


目に見えないものを理解させてくれるあなたの存在を、わたしはいつもかけがえなく思ってる

110903