あの日から俺は変わった。いや、正確に言うと変わったのは俺だけじゃない。あいつら全員が変わった。みんながみんな戦うことを止め、ゆっくりと確実に違う道を進み始めた。

銀時はもがきながらも色んな物を護り通すようになり、辰馬はでっかい希望を抱きながら宇宙へと旅立った。ヅラはこの時代を憂いながらも江戸を、明日を大切に思い、穏健派として行動を起こしている。あいつは、…そういえばあいつは何をしているのだろう。いつものようにへらへら誰かと一緒に笑っているのだろうか。

まあ、それはともかくじゃあ俺は今、一体誰の為に何をしているのだろう。最近そんなことばかり考えてしまう。もう俺も案外歳なのかもしれねえ。でも、今の俺は、誰の為に動いているわけでもない。強いて言うなら過去の日々や思い出ばかりに固執して、昔の自分を心底羨んでいるだけだ。これっぽっちも今や未来の為に動いていない。

だから、今という時代を壊した先に一体待っているのかも分からない。いや、分からないふりをしているだけで本当は薄々理解しているのだろう。壊した先には何もないということを。本当は護り通したかった人を遠ざけてしまうということを。

もう何もかも手遅れなのだということを。

俺はそこまで考えて、いつも逃げるようにして空を見上げる。銀時を照らし続けてる太陽を。辰馬が活躍しているであろう夜空を。ヅラが待ち焦がれる朝日を。あいつが馬鹿みてえに見続けていた夕焼けを。でも、俺はもうその太陽の柔らかさも夜空の壮大さも美しさも朝日の眩しさも夕焼けの美しささえも思い出せねえんだ。もうそんなところまで俺は来ちまったんだ。

俺は全てをぶっ壊したい。だけど、この空だけは壊すことをためらってしまうのは何故だろうか。



宵闇で微睡むゆるやかな退廃

世界で一番弱虫な俺はきっと一生空だけは壊せない。

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for モティの追憶
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110623