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小ネタ FGO1

 マスターである彼女がふと思いついたように召喚しようと宣言したのを後輩であるマシュはああ、またいつものかと苦笑いを零したのだった。彼女は何かと理由をつけて召喚をし、その後、悔しそうな面持ちでダヴィンチちゃんの元へと足を運ぶのは幾度となく見た光景であった。既に召喚されているサーヴァントの面々もああ、いつものやつかと呆れたように笑いながらマスターの意気揚々と歩く後ろ姿を見ているのだった。召喚する前とした後の落差はとてつもなく激しく、マスターである彼女を慰めるように赤い弓兵はさっさと菓子を拵えようとするし、清姫なんかはあわよくばを狙ってギラギラとした瞳で熱っぽくうっとりマスターを見つめていた。それは絶対にないと一同が思いながら、またむくれつらを晒すマスターにどんな言葉を掛けてやろうかと思案していた時に乱暴な足音を響かせて彼女がやってきた。随分と早いお帰りだ。徹夜明けなのか眉間に皺を寄せたアンデルセンが騒々しいとティーカップを持ちながら言うと彼女は譫言のように呟いた。

「な、なんか、すごいの……きた……っ!」

 恐ろしく貧困な語彙力だなと馬鹿にするようにアンデルセンが笑うと彼女がやってきた廊下からゆっくりと靴音が聞こえた。ヒールの響く音が近くなると感じたことのない雰囲気が嫌でもわかる。新しいサーヴァントか、しかし彼女がそれほどまでに驚くのは一体どんな英霊様なのか。ある者は不思議そうに、ある者は睨みつけるように、ある者は愉快そうに、ある者は関係ないと、それぞれが新しいサーヴァントへと思いを馳せていると、フロアにある自動扉が開いた。

「マスターさん? 置いて行くなんて酷いなぁ」

 そこにはマスターと同じくらいの年齢の少女が立っていた。黒い制服を見に纏い、すらりとした長い足を惜しみもなく出して、病気なほどに白い肌はまるで人形のように思えた。貼り付けたような笑顔を浮かべる姿は正に可憐だった。しかし彼女は本当に笑っているのだろうか。ちらりと伺える瞳は何を考えているのかわからない。控えめに言っても綺麗とはいえないものを燻らせ、それを隠しもせずに笑う姿は滑稽を通り越して、最早不気味であった。

「なんかよくわらないんですけど、とりあえず呼ばれたみたいなので来ちゃいました〜。暗殺拷問色事なんでも出来ますよ。で、マスターさんは私に何を望むんです?」

 なんでもしますよ。どうぞご随意に命令してください。彼女は不気味なほどに甘ったるい声でそう笑った。

英霊召喚!

20170107