Mole's Lullaby ・info・main +・Link・Clap・Top 龍と少女の話 種族の名前とか人物の名前は適当な創作言語です。 長い長い間、リデルの民はスイコッド王国の奴隷として使われ続けていた。 スイコッドの王は国の為の資源としてリデルの地を手に入れる事にした。 リデルの民は、言語は分からなかったがわ自分達を征服しようとしている事だけは彼らの態度や振る舞いから理解した。 当然反抗したが、スイコッドの兵達はリデルの民の大虐殺を行った事で、リデルの民は反抗をする気力を失った。 元々自然と共に生きてきた彼らは人間達人間自身が作り出した武器に立ち向かう事が出来なかったのである。 リデルの民は、自分達の身を守るため、スイコッド王国に屈服するしかなかった。 スイコッド王国とは別に、リデルの民を閉じ込めておく為のリコッドの街が出来た。 高い外壁に囲まれた檻のような街。 そこではリデルの民が今日も今日とて働いている。 チャロルはリデルの民の一人であった。 スイコッドにより教育をされたリデルの民は言語を習得しており、その中でもチャロルは人一倍勉学意欲が強かった。 しかし、これ以上は必要ないと思われる勉学は、リデルの民に教えられる事はなかった。 言語の教科書を、チャロルはボロボロになって文字が消え掛かっても持っていた。 見て、聞いた何気ない物語を反芻し、恍惚とした表情を浮かべる。 ーーこの街の外にはこの物語以外にも多くの物語が存在するという。 知りたい、もっと多くを、この街以外の事も! こんな場所じゃないところなら幸せなのではないかと、彼女は空想を広げる。 誰に支配されるでもない、自由な日常。 しかし現実は、逆らえば殺されるような縛られた日々。女であれば嬲られる事もある。 朝から晩まで働かねばならないのだ。 そんな時に、彼は落ちてきた。 漆黒の、硬い鱗に覆われた翼をもつ彼の名はヴィルと言う。彼は自分を龍人族であると名乗った。 龍人族の存在を知らないチャロルは驚きながらも、ヴィルを受け入れる事が出来た。 彼らはこの世界でもっとも凶悪な存在とされているらしい。 そう聞かされても、チャロルはヴィルを危険な存在と思う事が出来なかった。 チャロルは、ヴィルの頼み込みにより、彼を暫く住まわせる事にした。 食料も書物も持ってきてくれた。 彼女は見る見る健康になって行く。物語を与えればキラキラと目を輝かせる。 一緒に物語を読んだり、またチャロルが考えた話をヴィルが聞いたり。 そんな事を繰り返していくうちに、彼らは仲良くなる。 しかし、ある日チャロルは友人による罪を被ってしまう。 チャロルは覚悟を決め、その罰を受ける事にするがーーーー 街の外壁が崩された。 そこには大きな、黒い鱗の龍が居る。リデルの民は、その崩れた壁から外へ逃げ出した。スイコッドの兵も住民も逃げ出した。 あるいは対抗して武器を向けたが、そんなもの彼には通用しなかった。 『君の嫌いな世界を、壊したよ』 地から響く声が、そう告げる。 『この後どうするかは、君次第だ』 どこか悲しげなその声は、もう既に聞き馴染んだヴィルの声。 彼の声を目指して、チャロルは走った。 けれども、走っても走っても、彼は見つからなかった。 もぬけの殻となった自分の住んでいた街。自分の家は無事だった。 『ごめん、また会えたら』 変わっていたのは、その紙切れが落ちていただけだった。 っていうのにしようと思ったんだけどあまりにこの2人は幸せになるべきと思ったのでハッピーえんどにします。とりあえず置くだけ起きます別れエンド 2012.6.12 [*前] | [次#] |