この夢を見るために布団に入ったのはいつだっただろう。覚えていない。明日の準備をしたのは、風呂に入ったのは、いつも寝る前にしていたことをやり遂げたはいつだ。覚えていない。どうして今回に限って何も覚えていないんだ?それに彼女だってどうして今回に限って逃げ出すタイミングを図り、反撃を試みているんだ。夢の中の彼女はいつも反撃してきただろうか。大人しくされるがままに泣いていただけではなかっただろうか。そもそも夢は痛みを
「いやっ、いやっ…!」
 彼女が身に纏っている残りの衣服や下着を剥ぎ取って慣らさないまま既に硬い其れを押し付ける。さっと血の気が引いたいろちゃんの顔を上から眺めながら強張って動く気配のない細い足を肩に引っかけて力任せに腰を打ち付けた。ぶちぶち、という長い人生の内にそう体験できない感触を感じながらその痛みのあまり悲鳴すら飲み込んでただひたすら堪えていたはずの涙をこぼす彼女になんだか胸の奥がちりちりと焼け爛れたような感覚。忘れ果てたはずの罪悪感とやらが再び爛れた胸いっぱいに詰まったような気がした。役目を終えた膜のものだか擦れたために流れたものだかは知らないが真っ赤なそれを潤滑油に俺は単純な動作を繰り返すのだ。
 今更退くなんて選択肢はない。理由はどうあれ、結果は同じだ。退いた先に何があるのか。吁クソ、これだから最近は



夢見が悪い。




 この胸の痛みもふって湧いた罪悪感も、殴られた頬の痛みも俺の下で泣く彼女の涙だって、これらはすべて夢。なのだ。


 




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