『キミのご主人って、不思議な人だね。』
『何でだ?』
『ボクのご主人のこと、好きなんでしょ?』
『そうらしいけどな。』
『じゃあ何でボクのご主人がくっつくと嫌がるの?』
『…さぁな。』
「ハチクさん好きですー。」
「そうか。」
ぎゅむ、とくっついてくるアーティを全く意に介さず、本をめくるハチク。
ボールから出されたツンベアーとハハコモリは、既に見慣れた光景なのかそちらをみようともしない。
「…毎回思うのだが、ポケモン達の前でその様なことは、」
「良いじゃない、彼等も気にしてないし。」
ねー、とアーティが言うと、ハハコモリが同意するかの様にこくりと頷く。
ハァ、とハチクが溜め息をついて本をパタリと閉じた。
「いくら慣れてるからといっても…、」
「あうーん。ハチクさんうるさいよん。」
反論しようとしたハチクの唇を、アーティは己のそれで無理やり塞ぐ。
その際に空気を読んだのか、ツンベアーとハハコモリはまるで見ていないかの様に二人とは反対側を向いていた。
そんなことまるで端から気にしていない、と言わんばかりにアーティがハチクの着流しから肌へと手を這わせ始めた。
「っ、…アーティ!」
「いでっ!」
が、それはすぐにハチクの蹴りによって阻止され、吹っ飛びかけたアーティをハハコモリの糸で何とか受け止める。
「あ、ありがとうハハコモリ…。痛いよハチクさん…。」
「…お前が悪い。」
頬を染め、顔を背けるハチクにアーティは愛らしさを感じ、顔がにやける。
「…それに、そういうのは、ポケモン達がいないところで、だ。」
「いなかったら良いの?」
冗談混じりにアーティが聞くと、返ってきた言葉は意外なものだった。
「…まぁ、言い換えればそうなる、な…。」
ボソボソと、蚊の鳴いている様な声で途切れとぎれの返答をするハチク。
しかし、それはアーティを喜ばせるには十分すぎた。
「…やっぱり、ハチクさん大好きですっ!」
「…私も、だ。」
先程とは違いハチクさ静かに抱き締めらる、アーティは心底嬉しそうに微笑んだ。
『…まぁ、アレだ。嫌よ嫌よも好きの内って。』
『ふーん、素直に好きって言えば良いのに。やっぱりキミのご主人って変だね。』
『お前の主人も中々だと思うがな。』
そんな二匹の会話を知るよしもなく、イチャつく二人を他所に時間は流れていった。
相互記念として藤ノ子様に捧げます…!何だか失敗感駄々漏れだぜヒャッハー!!
ハハコモリとツンベアーの口調とか完全捏造です…。
二匹とも大体トレーナーと同じ口調で。
もしダメでしたらいつでも書き直し致しますのでお申し付けくださいっ!相互ありがとうございました!
藤ノ子様のみお持ち帰り可能です。