ノボリはボクと違って、表情をあんまり顔に出さない。
けど、ボクにはノボリの些細な表情の変化や何を考えてるかなんて簡単にわかるんだ。
ノボリが意外と、嫉妬しやすいところとかも、ね―――。
「トウコーっ、久しぶり!」
「わわっ!?クダリさん!?」
丁度さっき、マルチトレインで、勝ち進んできたトウヤとトウコ。
ボクはノボリがいるのにわざと見せつけるかの様に、トウコに抱き着いた。
「く、苦しいですよ、クダリさん…!」
「…クダリさん。トウコが嫌がってますよ。それより、早くバトルしませんか?」
そのままトウコをぎゅーっとしてると、怒気を含んだトウヤの声が聞こえてさすがにヤバいと思ったので、ボクはトウコから離れた。
ちらり、とノボリを見れば、ノボリは何とも言えない複雑そうな表情をしていた。勿論これも普通の人にはわかんなくて、いつものノボリにしか見えない。
「ごめんごめん。じゃ、バトルしよっか、ノボリ!」
「…ええ。」
と、いつもと変わらない様に返事をしたつもりだけど、怒ってるのがボクには丸わかり。
ボクは内心クスリ、と笑いながらモンスターボールからポケモンを出した。
「クダリ。」
バトルが終わると、ノボリがちょっぴり怖い顔でボクに話しかけてきた。
「ん、なーに?ノボリ。」
何食わぬ顔で返事をするけど、本当はわかってる。きっとさっきのことだ。
「先程のことですが、あの様なことはあまりお客様にしない方がよろしいかと。」
――ほらね、ビンゴ。
「えー。何で?」
「…トウコ様たちはあくまでお客様です。ですから、あまり失礼なことは…」
まるで正統な理由みたいにノボリは言ってるけど、さっきからボクにはバレバレだよ?
「ノボリ、トウコに嫉妬しちゃった?」
「は、あっ!?」
あ、その反応当たりっぽい。
ノボリは顔を赤くして、いつもの冷静さもなくしてわたわたしてる。
「ちち、違いますっ!私はただ単にお客様のことをっ!
「…じゃあ、ノボリ、ボクのことどうでもいいの?」
「はいっ?一体どうしてそうなるんですか…!」
ちょっとボクが困った顔をしてやると、ノボリはすぐにあたふたし始める。ノボリには申し訳ないけど、少し面白い。
「く、クダリ…私は…。」
次第にしゅん、とノボリは困った様な表情を見せた。…きっと本人は無自覚だろうけど、まるで怒られたヨーテリーみたいな様子が可愛らしい。
「っ、クダリ…?」
そして、ボクは我慢出来なくなり、ノボリをそっと抱き締めた。
「ごめんね、からかいすぎた。」
と言って、おそろいのその黒い帽子を上げて額にキスを落とす。
「ノボリがあまりにも可愛かったから、ね?」
「…おバカさん。もうあんなこと、しないでくださいまし。」
「うん、ボクにはノボリが一番だから。」
そういってボクが笑うと、ノボリはボクにしかわからない様に小さく笑った。
(愛しくて、愛しくて)(つい嫉妬させたくなっちゃうの)
エダオ様からのリクエストで、クダノボ嫉妬話でした…!
わざと嫉妬させるクダリさんとのことでしたが…ううむ、どうなんでしょうか(
書き直しなどはいつでも受け付けていますのでぜひぜひお申し付け下さい!
リクエストありがとうございました!