好きか嫌いか、と聞かれたら勿論好きだ。
バトルだって強いし、同じジムリーダーとして尊敬だってしている。
…けれど、それはあくまでライクでラブに傾くつもりなんて全く無かったんだ。
そりゃあ顔だって良いし、その落ち着いた立ち振舞いや時折見せる威圧的な雰囲気も素敵だ。
でもそれは彼の表の顔。ボクは彼と、ハチクさんと一緒にいるうちに、意外な裏の顔を知ってしまった。
無表情かと思ったら実はよく笑ったり、冷たいかと思ったら優しかったり、実は意外と甘いものが好きだったり。
彼のことを知れば知るほど、ボクは彼に惹かれていく。
彼の仕草や一挙一動まで全てを愛しく思う自分がいる。
今だってそうだ。ただ意味もなく彼の横顔を見つめてる。でも、それだけで何だかボクは幸せになれる。
(睫毛、長いなー。)
伏し目がちな表情。きっと無意識なんだろうけど、憂いを帯びたようなその顔は何処か色っぽく見えた。
「…アーティ?」
「え!?あ、は、はいっ!」
気付かれない様に観察していたはずなのに、不意に声がかけられ思わず素っ頓狂な声を上げた。
「…さっきからやけに大人しいが、具合でも悪いのか?」
…どうやら気付かれてないみたいだ。むしろそんなボクの心配さえしてくれてる。
そんな、優しい貴方のことを考えてました。なんて言えるわけがない。
「いえ、何でもないですよん。…それよりハチクさん。」
「ん?何だ。」
そんな優しい彼のことが気になり、ボクの好奇心と純情ハートがうずき出して
「ハチクさんって、好きな人とかいます?」
つい、聞いてしまった。だってさ、やっぱり気になるでしょ?
そうするとハチクさんは
「なっ!?い、いきなり何を聞くんだ君はっ!!」
と、いつもの冷静さを無くして顔を真っ赤にした。
…この反応、まさか。
「え、ハチクさんもしかして…。」
「き、君には関係のない話だ…。」
ゴホン、と軽く咳払いをして少し落ち着きを取り戻すハチクさん。
(…ふーん、いるんだぁ。)
それを見て、ボクは内心にやけていた。
本来なら、ショックを受けるところかも知らないけど、ボクは何故か、喜んでいた。
(ならば、彼をボクのものにするのが更に楽しくなったね。)
恋は障害があればあるほど燃える、っていうのを聞いたけど、あながち間違いでも無さそうだ。
(貴方はボクのことを好きになる。好きにしてみせる。)
静かに決意をすると、ボクはそれを噛み締めるかの様に呟いた。
「…絶対、ボクのものにしてみせる。」
「? 何か言ったか?」
「いえ、何でもないです!」
不思議そうな彼の顔。それにボクはいつもと変わらない笑みで微笑んだ。
(貴方はボクを好きになる)(だって、ボクは貴方を好きだから)
鞘西様、リクエストありがとうございます!
付き合う前でハチクさん大好きなアーティさんとのことでしたが…玉砕感満載ですね。
ちなみにハチクさんの好きな人は勿論アーティさんです、なのでほんのり両思い…なのか…?
書き直しなどはいつでも受け付けていますのでお気に召しませんでしたら、ぜひぜひお申し付けくださいっ!
リクエストありがとうございました!