「散らかってて悪いわね、適当に座って。」

「大丈夫!アタシの部屋のが酷いから!」

「あら、ありがとう。…お茶、入れてくるわね。」

「はーい。」

今日は、久しぶりにカミツレちゃんの家に遊びに来ている。

最近はモデルのお仕事が忙しかったのか、中々会うことさえも出来なかったからすっごく嬉しい。

ドサリ、と高級そうなクッションに腰を下ろして、辺りをキョロキョロと伺う。

散らかってる、といっても机の上に雑誌や上着などが多少散乱している程度で、十分片付いてると言える。

「あ、これカミツレちゃんの出てる本だ。」

おもむろに、そのまま雑誌を手に取る。

すると、先程までその雑誌があった場所から黒いレースが顔を覗いた。

(…ん?)

気になって手にとってみると、それは

「し、下着…!?」

黒地にレースがついた、女性用ショーツ。それも、かなり際どい。

(え、嘘…!?カミツレちゃんってこんなの穿いてるの!?)

とりあえず大事なところだけを隠すだけのその下着を、私はまじまじと見つめる。

(で、でも、カミツレちゃんなら、普段もあんな格好だし…意外じゃないかも…?)

…アタシだって格好に関しては、他人のこと言えないけど…

「はー…。何か、意外だなー。」

「何が?」

「わわっ!?かかか、カミツレちゃんっ!」

不意に声をかけられ、思わず飛び上がってしまう。

手から滑った下着はヒラヒラと宙を舞い、音を立てずに床へと落下した。

「…あら、それ…。」

…ヤバい、変態だとか思われちゃう!

「かっ、カミツレちゃん!私はカミツレちゃんがどんなパンツ穿いてようと、カミツレちゃんを好きな気持ちに変わりは…!じゃなくって!」

あぁあ、フォローになってない!ダメじゃないのアタシ!

そのままあたふたしてると、カミツレちゃんがクスリと笑った。

「…ありがとうフウロちゃん。でも、その下着は私のものではないのよ。」

「え?」

カミツレちゃんのじゃ、ない…?

ということは…

「ま、まさか、彼氏の!?カミツレちゃん浮気!?」

「違うわよ。」

あ、やっぱり?

「…それは、貰い物。ファンがくれたんだけど、少し際どすぎてね…。」

「…そういうことだったんだ…。」

アタシってば、一人で勘違いしてたみたい、恥ずかしい。

「それで、もらったはいいけど困ってるのよ。送り返すのも何だし…。」

はぁ、と溜め息をつくカミツレちゃん。

「あ、そういうことならアタシに任せて!」

「え、フウロちゃん、まさか穿くの?」

「ちがうー!プレゼントにうってつけの人がいるから!」

と、ウィンクしてみせるとカミツレちゃんはポカンとした顔をしていた。

「…まぁ、良いわ。もうこの話はおしまいにして、お茶にしましょう。」

「うん!」

ティーポッドから香る紅茶の香り。

それに、笑顔のカミツレちゃんを見ると先程のことを忘れる自分を単純だなあ、と思いつつ、幸せな一時を楽しんだ。


(…カミツレちゃんなら、あれも似合ってたかも)(どうかしたの?フウロちゃん)(ううん、何でもない!)




おまけ

『プレゼントです。有効活用してください! フウロ』

という、短い手紙と共にフウロから「有効活用」してほしい下着が、ハチクのもとにへと送られてきた。

「…あのこは何を考えているんだ。」

「うわ、際どい下着。あ、何かインスピレーション湧いてくるからハチクさん穿いて」

「死ねっ!」






百合楽しかった。
パンツネタが書きたかった。

ちなみにカミツレさんに下着を送ったのは私です^^