猫は気まぐれな生き物だと言うが、それは間違いだと私は思う。
その証拠に私の猫は、忠誠心が服を着て歩いてるようなものだ。
「アカギ様!会議の資料です!」
出掛けようとすれば用件を見抜き、即座に対応をする。
「アカギ様!ミッションを完了しました!」
与えられたことは素早く、それでいて完璧にこなす。
そのたびに私が誉めてやると、まるで尻尾を揺らすかのように嬉しげに微笑む。
そんな私だけの猫―――サターンが愛しくてたまらない。
今だって、私の膝の上で大人しく座ってる様子は縁側で日向ぼっこをしている猫を連想させる。
何だかそれがひどくいとおしくなり、猫にするように艶やかな藍色の髪を撫でてやる。
「…アカギ様?」
そんな私をおかしく思ったのか、サターンは顔を上げて、まっすぐに私を見つめた。
「どうかしましたか?」
「いや、何でもない。気にするな。」
そういうと、サターンは再び私に背を預ける形になる。
「アカギさまー。」
「何だ。」
「…私、幸せですよ。」
ゆらり。
あるはずのない尻尾が、嬉しげに揺れた気がして何だか笑いが込み上げてきた。
「…私もだよ、サターン。」
と、もう一度、艶やかな猫のそれのような頭をくしゃりと撫でた。
幸せなアカサタをかきたかったんだ…!