「ちゅーしたい。」

と、仕事中いきなりおかしなことを言い出すクダリ。

「…ダメです。」

それをノボリが許すわけもなく、目を合わせることもなく書類と睨み合いながら返事を返した。

「だって最近お仕事ばかりなんだもん。ねー、ちゅーしたいよー。」

「ダメに決まっているでしょう。おバカ。」

「…じゃあ、ノボリがちゅーしてくれるまで仕事しない。」

「はあ!?」

今度はろくでもないことを言い出すクダリに、ノボリは目を丸くしてクダリを見た。

「な、なにを言っているんですか!クダリ!」

「ボク本気だよ?最近ノボリ、仕事ばっかでボクに構ってくれなかったし。」

「そ、それは…。」

ぐ、と言葉に詰まるノボリ。

確かに仕事は大事だが、クダリは一度言い出すとてこでも動かないことをノボリは知っていた。

(…あぁもう!)

「クダリ。…目を、瞑ってくださいまし。」

意を決したのか、椅子から立ち上がるノボリ。

「はーい。」

そんなノボリを見て、クダリはニヤニヤと三日月のように口元を上げながら目を瞑った。

ちゅっ

ほのかなリップ音と共に、クダリの唇にノボリのそれが一瞬だけ押し付けられる。

「…こ、これで満足ですか!?」

顔を真っ赤にするノボリ。そんなノボリを見てクダリは

「…うん。満足、やっぱノボリ可愛い。」

そういって、書類の方へと向き直った。

(ほんっとに、もう…!)

未だに顔を赤く染めながら、ノボリは書類とクダリを同時に睨めつけた。



(今はこれで我慢。仕事終わったらもっとしようね。)(は、はあぁ!?ふざけないでくださいましっ!!)










うぶなノボリさんは可愛いねっていう。