「インゴなんて、死んじゃえ。」
とん。
そういって、ワタクシの弟エメットは、私を線路へと押した。
だが、ワタクシは油断してたとはいえそうまっすぐに線路に落ちるわけがなく、何とかホーム上に留まって、言った。
「…エメット。何の悪ふざけですか。」
「あーあ、死ななかったんだ。残念。」
けらけらと笑うエメット。
「ふざけんな。ちゃんと理由を言いなさい。何故こんなことをしたのです。」
「What?理由なんてないよ。ただインゴに死んでほしかった。それだけ。」
「ほう。では、何故私に死んで欲しいのですか?」
「だから理由はないってば。…強いて言うなら」
エメットは軽やかな動きで、ホームから線路に飛び降りる。今の時間帯、電車が来ないにしてもその様な危険な行為はあまりお薦め出来ない。
「殺したいぐらい、インゴのことが好き、ってことかな。」
ニコニコとした笑顔でこちらを見上げるエメット。その真意がわからない表情に、背筋にぞわりとしたものを感じた。
「…やっぱり、お前は狂っています。」
「そんなボクが好きなインゴもね。」
ワタクシは溜め息をつき、ホームに上がろうとするエメットの手を痛いぐらいに握り、引き上げた。
(いっそ殺してしまえたら)(今より好きになれるのだろうか)
初エメインがこれって…。
海外はこんくらい殺伐としてたほうがいい。