木々の隙間から射し込む木漏れ日。
穏やかに吹き抜ける、頬を掠める風。
ヤグルマの森は、大都市ヒウンシティの近くにしては自然が豊かで美しい場所だ。
そんな美しいところは、虫ポケモン達の絶好の場所である。
もちろんそれは例外なく、人間もである。
「…うー、ん。」
ボスリ、と地面に寝転がり伸びをするアーティ。
横には、書きかけのスケッチブックと鉛筆が数本転がっている。
「やっぱり森は良いね。インスピレーションが湧いてくるよ。」
「そうか。それは良かったな。」
満足そうなアーティを、穏やかな顔で見つめるハチク。
―――数分前、俗にいうスランプにアーティは陥っていた。
そんな彼を見かね、ハチクは
「気分転換に、外にでもいくか。」
と、スケッチブックと鉛筆を手に唸るアーティを連れ出し、こちらにやってきた。
その結果、満足出来るものを描くことが出来たらしく、今に至るという状況だ。
「ハチクさーん。」
「何だ?」
「…ありがとね。気遣ってくれて。」
にへら、とアーティが微笑むとハチクもつられて笑顔になる。
「満足出来たなら、私も嬉しい。」
「えへへ。やっぱりボク、ハチクさん大好きです。」
「…私もだ。」
フッ、と微笑むと、二人は木漏れ日の中でキスを交わした。
(暖かな日差しに包まれて)(キスをしたあとまた笑った)
甘いアーハチとデレハチクさんを書きたかった。