寂しいの、と聞くと。
パープルの柔らかそうな髪を揺らしてそっと頷く、彼がとても可愛らしい。自分を抱くように丸めた体は、まるで開いた穴を必死に塞いでいるようだった。
｢寂しいよ｣
｢そうなのね｣
｢ボス、ボス･･･声が聞きたいです。電話、待ってます。こちらドッピオです･･･とぅるるるるん、とぅるるるるん｣
｢お可哀想に｣
壊れたおもちゃの電話みたいに、何度もコールを鳴らす。そうして彼は何百回と繰り返す死をまた巡り、涙を流しながら息絶えた。可哀想に、可愛いドッピオ。ドッピオは何にも悪くないんだものね。できることなら代わってあげたいけれど、できないものは仕方ないわ。ああ可哀想、可哀想だわ。
また一巡する。
｢おかえり、またよろしくね｣
最近はボスだけじゃなくて私の名前も呼んでくれるのよ。何度も巡って覚えてくれたのかしら。もしそうだったら嬉しいわ。あなたとわたしの輪廻は決して無駄じゃなかったと思えるもの。
｢ねぇ、良かったら僕にキスをしてくれないかな｣
｢もちろんよ、ドッピオ｣
｢じゃあ｣
･･･自分から言ったくせに、ドッピオはわたしの唇を直前で止めて少し悲しそうな顔をした。ああ、まだ一緒なの？会って話せもしないあなたのボスと、まだ繋がったままなのね。憎らしいこと。わたしが愛しているのはドッピオなのだから２人が同一であることを疑ったりはしないけれど、そのボスとやらが酷く羨ましい。自分から離れたくせにまだ縛り付けるなんて、ずるい。ずるいわ。
また一巡する。
また一巡する。
また一巡する。
また一巡する。一巡する。一巡する。一巡する。一巡する。一巡する。一巡する。一巡する。一巡する。一巡する。一巡する。一巡する。一巡する。一巡する。 廻り巡ってくるくると、ああドッピオ、あなたが愛しい。どうかどうか、その唇をわたしの唇に寄せて。願わくば、あなたの気持ちだけで。
絶対に逃がさないわ。
何万回でも愛を誓うよ
(でもその時は嬉しすぎて死んでしまうかも)
そしてコール音が、止まった。
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