◆『Pieris』番外編 あとがき

引き続き、番外編までお読みくださったみなさん、ありがとうございました。
これにてこのお話はやっと完結となります。また長いあとがきつきなので、お時間のある方はどうぞ。

▼“物語のその後”
前回本編の後書きで、“物語のその後は書けない”と言ったのですが、その最大の理由に「原作との齟齬」がありました。ご覧の通り、私が捻り出したこの物語の結末は、原作とはかけ離れたものになってしまったのです。

なにしろ私は原作最終話が本誌に掲載されるのを待ってわざわざその次の日にこのサイトを始動したくらいなので、“オビトが死ぬ”という絶対的事実を歪めることは、かなり大きな決断でした。
なのでどうしてもお話の本編としては組み込めませんでしたが、なにがなんでも書きたい部分が残っていたのと、夢主がもう少し報われてもいいんじゃないか、という親心(?)が勝ってしまい、続きを書くに至りました。

それにしても、オビトがどう足掻いても絶望すぎて、正当な生存ルートを生み出せそうになかったので、その部分はかなりぼやぼや〜っと誤魔化してしまいました。少なくともマダラを輪廻転生したらアウトなので、してないはずなんですが無限月読は発動してるし…とか色々と…。まあこのお話の主軸はそこじゃないので、軽く流して読んでもらえれば助かります。

▼引き続きのエヴァ
さて、こっからまた鬱陶しいエヴァ話です。この長編がエヴァの影響を受けまくりなのは前回書いた通りなのですが、その中でも本当に書きたかった部分は、今回の番外編にありました。
“オビトは人一倍優しいから、他人を傷付ける。他人を傷付けることで、自分を傷付けている”という部分です。このエッセンスは番外編タイトルに拝借したエヴァ旧劇場版の没曲に詰まっています。

この部分に関してはエヴァで言うと旧劇場版ラストシーン、シンジがアスカの首を絞めるシーンが有名です。私の首絞めシーンに対する妙な執着は恐らくここからきています。
当時から色々と解釈の分かれているシーンなのですが、以前ネット上で見かけた、「シンジは自罰のためにアスカの首を絞めた」という解釈に私は非常に感銘を受けました。細かい部分は省略しますが、シンジは優しいがゆえに自分を許せず、自分が最も苦しむ方法として、自分が死ぬよりも辛いこと、他人が傷付くこと、すなわちアスカの首を絞めるという行為に行き着いた、というのです。それは言い換えれば、シンジが心優しい少年だということを、何よりも証明しているのです。
また、ストレートに言えば、「アスカが傷付くことは自分が死ぬよりも辛い」ということになりますので、それだけアスカを大事に思っていることの裏返しでもあるのです。

前から私はmemoなどで“情が深すぎて闇落ちしたオビトが好き”と明言してきました。ある意味オビトは、その闇が深くなればなるほど、非道になればなるほど、逆説的に彼の優しさが証明される、そう感じていた私にとって、このエヴァというモチーフはうってつけだったわけです。

ついでにオビトの場合は、他人を傷付けることで自分がクズだと実感したり、そんなクズを生む世界は腐っていると再確認したりすることで、ある種の精神的安寧を得ていそうです。

しかし何にしても結局は自分のために他人を傷付けているという事実は変わらないので、そういった自分本位な部分もあるってことは忘れちゃいけないですね。

▼ぶっちゃけ話
ところでどうしても書きたかった部分について、あと二つあります。
一つは、「オビトにこんな付け焼刃の写輪眼効くわけねーだろ!!」という部分です。
あれは自分でもかなり無茶した展開だったので、後書きでも“消そうとした”と書くに留めて、“消しました”とは言わないようにしてきました。本当は効いていたパターンも考えていたのですが、最終的にやっぱり効くわけないな、と思ったので今の形に落ち着きました。

もう一つは、「なんだコイツらうだうだ言ってねーでとっととくっつけや!!」という部分です。自分でも二人は面倒な関係こじらせてるなあ、と書きながら思ったので、最後は割とイチャつかせときました。

オビトについては、ナルトに説教されて、リンとも再会して、色々憑物が落ちて、しかも自分も夢主も死にそうという窮地に陥ってはじめてデレてくれた感じですね。
理屈とか言葉でのやりとりはそういった原作の説得部分でかなりやっていたので、最終的な駄目押しとしては理屈よりも感情、湧き上がるような激情がオビトには効くかな、と思いこうなりました。

実際オビトも立派にうちは特有のヤバそうな点を備えているので、自分の好意を自覚した上で、しかも相手も自分を好いていると分かっている状況では、かなりアレなことになりそうだなあと。これからの夢主が苦労しそうです。

▼"In other words,"
ちなみに最後のエピローグタイトルは In other words,(I love you!)=Fly me to the moon なので、最終的に第一部のような関係になれました、という意味も込めました。内容も第一部を踏襲したものになっています。この締めのシーンはぜひ、Fly me to the moonを聴きながら読んでみてほしいです。

▼終わりに
この話はずっと前から温めてきてサイトをつくるきっかけにもなったお話ですので、何かみなさんの心に残るようなものがあれば幸いです。そしてオビトというキャラをもっと好きになってくださった方がいれば、それこそ感無量です。

それでは改めて、最後までお付き合いいただきありがとうございました。


2015/01/18

←prevback│next

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -