あとがき



連載、ここまでお付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました。早速ですが恒例のなが〜いあとがきです。

◆話を書くきっかけ
以前メモなどには書いたのですが、この話を書くことになった発端というのが、私の(リアルで寝ているときに見る方の)夢にありました。大変ラッキーなことに当時私の夢の中にオビトさんが出てきてくれたんですね、ですが……このお話のごとく、登場したオビトは六道オビトで、彼はどうも、無限月読の成功した静かな世界の中で、ひとり、満月の浮かぶ夜空の下で、じっと佇んでいるんです。このシーンだけは本当に夢だったのかってくらい鮮明に覚えていて、そのオビトさんが、寂しいような、なんとも言えないすごく胸を締め付けられるような顔をしていて、起きてからずっと六道オビトのことを考えていました。

考えてみたら、オビトって、「もっとみんなと一緒にいたかった」一心で無限月読を願ったのに、実際にそれが成就しても、誰とも一緒になれない…そんなやるせないことってあるか?と思いました。そしてそんなオビトにひたすら寄り添う夢主の話、みたいな構想が浮かんできました。

そこからはいつものパターンなんですが、たまたまその頃聴いていたTMR-eの「月虹-GEKKOH-」という曲がこれまた六道オビトのイメージにぴったりの曲で……今回のお話の元になりました。とてもいい曲なのでよかったら皆さんも聴いてみてください。ちなみに各話のタイトルも歌詞の一節をリスペクトして「月の海」からとってきています。

◆余談と補足
ところでこれまた例のごとく、明らかに意味不明というか、私の力不足でちんぷんかんな話になってしまった感があるので、ここからは余談のような補足をさせてください。

まず話の肝というか結論からですが、「結局この話は夢主の夢だったのか?」という部分については、全く決めておりません。完全に夢主の夢だったパターンでも切なくていいし、本当にオビトの無限月読の世界にいたパターンでも、それこそ最後の言葉を伝えるためだけに、オビトが夢主を呼び寄せてしまった……みたいないろんなパターンで読んでいただけるよう書いたつもりです。

この終わり方は真っ先に決めていた部分で、個人的にオビトにこういった形で最後に笑ってもらえるならそれは紛れもない、これ以上ないハッピーエンドだよなと思っていたものの、世間一般で言うところの「ハッピーエンド」ではないよな、とも思いましたので、注意書きではあんな表記をさせていただきました。

◆ぬのぼこの剣
そういうわけでこの話は二人が別れて夢の世界が崩れるところで終わるんですが、なんで二人が夢の世界を終わらせたの?っていう部分は、超単刀直入に言うと「夢主の中に二人の子どもが宿っていたから」という半ば裏設定な理由なんです。

そのへんについては私がずっと書きたかった「ぬのぼこの剣」が関わってきまして。
もともと原作であっさり退場してしまったこのアイテムを使ってみたいな〜という気持ちと、あとはこの話とは直接関係ない部分なんですが、個人的に「六道化したオビトやマダラは生殖可能なのか?」という疑問がずっとありまして、ただ「六道仙人にアシュラとインドラという子がいる以上、可能なんだろう」と漠然と考えていたんです。

そんなときにふと思いついたのが「ぬのぼこの剣」の存在です。もともと「ぬのぼこ〜」の元ネタとされる「天沼矛(あめのぬぼこ)」は、“国産み”の神話の中で登場するんですよね。詳しくはググってみてほしいんですが、「ぬのぼこ〜」が文字通り“産む”こと、つまり生殖行為と深く関わっているものと私は考えたわけです。実際に岸影先生がどこまで意図されたかはわかりませんが、原作の「ぬのぼこ〜」のフォルムはまるでDNAの二重螺旋のような構造になっていますし、そのへんを絡めて話をつくれないかな〜と考えたのでした。

ただストレートに六道オビトとそっち系のシーンを書くのは難しいよなと思いましてちょうどよく取り入れたのが「空中浮遊」というシーンです。これも以前メモに書いたんですけど、実はこの連載には下敷きとなった話がありまして、短編の「つま先で宙を泳ぐ」と同設定(のつもり)で書いています。そちらの話では、夢主がオーガズムを浮遊感として喩えているんですけど、まあつまりそういうことです。

◆おわりに
色々と反省点の残る話なので追々修正したりするかもしれませんが、とりあえず「六道オビト書くぞ!」と当初目標にしていた要素はほとんど書ききれたので楽しかったです。そして改めて、「うちはオビトって最高じゃん…」と噛み締め実感しているところです。

皆様にも「最高なうちはオビトやっぱり最高だな…」と一ミリでも思っていただければ嬉しいです。ありがとうございました。


2018/12/19

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