「あ゛ーー、疲れた」
「ちょっと、名無子先輩、女子にあるまじき顔してますよ!」
「うっさい、一体誰のせいでこうなったと思ってるの」

顔はゲッソリ、気分はゲロゲロでアジトに帰還する羽目になったのはどう考えてもこのトビのせいだ。

「なんでよりにもよってあの乱痴気騒ぎに巻き込まれなきゃならないのよ……」

まあ面倒なので詳しくは省略するが、私たちはかくかくしかじかというわけでとある町へ任務に赴いた。もともとはトビが一人で行く手はずだったのだが、前回の任務でトビが盛大にやらかしたせいで、私がお目付け役として同行させられることになった。

着いてすぐ、やけに騒がしいなと思ったら、どうやらその日、町では年に一度のハロウィンパーティーとやらが開かれていたらしい。

運悪く目的地が町の中心街だったもので私たちはそれはもうもみくちゃにされた。最初はまあハロウィンと聞いてお菓子配ったり仮装してたりしてるのかな、くらいに悠長に構えていたのだがそんな次元じゃなかった。

「あれはもうまとめて全員爆破してやりたかったわ」
「あはー、それは言えてますね」

こんなときにデイダラがいてくれればなァ、なんて思ったがさすがにマジで実行したらリーダーに絞られる。

「ってかねえ、あれなんなんですかあの仮装!? 全然ハロウィン関係ないですって!」
「あー、それね」

珍しくまともなこと言ってるな、と頷いていたらトビはわざとらしく「プンプン!」と手を腰に当てる。

「あんなのまるで変態仮装行列じゃないっすか!」

「……、ええ……」

別に言っていることはおかしくない、けれど季節を問わず“一人変態仮面行列”って感じの「お前が言うのか」とちょっと引いてしまった。

「あんなえっちな衣装、先輩にも着てほしいんですけど! ねえ、名無子先輩!?」
「はあ? やだよ、あんなの」

勘弁して、と返しながらまたイライラが再燃してくる。

「ほんと、思いっきり胸揉まれたのは今でもムカつくわ」

ドサクサに紛れて何さらしとんじゃ、としばき倒してやりたいところだったがあまりの人混みで犯人はわからなかったし、なにより任務遂行のために下手に騒ぎを起こすわけにもいかなかった。そこはぐっと堪えて、しっかり役目を果たした自分を褒めてやりたい。

「ああ、それなら大丈夫っスよ」
「?」
「それ、揉んだのボクなんで」
「……は?」

なにさらっとカミングアウトしてるんだ、この変態仮面野郎は?

「アっ、あ゛ーーッ!! いだだだ、やめてっ、先輩やめてーーー!!」
「ふざけんなよ、この野郎。せめて金払え、金」
「金、金って……先輩、お金で身体売るつもりですか!? そんなのボク許しませんよ!」
「もううるさいな、黙って殴られとけよ」

スっ、ストーップ!! とトビは大声を上げる。

「ホラっ、ここは等価交換といきませんか!?」
「……はあ?」
「等価交換ですよ等価交換! 目には目を、歯には歯を、って言うでしょ?」
「……」
「というわけでェ、おっぱいにはおっぱいを! ささっ、先輩も揉んでいいっスよ、ぼくのおっ」
「ふざけんな」
「ブフーッッ!!」

トビはわざとらしく吹っ飛んでみせたが容赦はしない。

「やっ、やめーっ! 暴力反対パワハラセクハラアルハラ〜〜ッ!!」

このカボチャみたいな忌々しい仮面をどう料理してやろうか、私はクナイに手をかけた。


END?


2018/11/11〜11/30
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