夢の世界でなら、また逢えると信じて、これまで生きてきた。
ずっとずっと、私の心の奥底に焼き付いている、あの日のあなたに。
でも、どうしてかな。すべて思い通りのはずの世界で、確かに、あなたは笑っていた。
トレードマークのゴーグルを少しだけずり上げて、あの日みたいに、笑ってた。
なのに、どうして、
「違うの」
ほしかったはずの、会いたかったはずのあなたは、違った。あなただけど、あなたじゃない。
そう思った途端、穏やかに満たされていた世界が、破裂してドロドロに溶けていく。
凍りついたように静止したあなたの笑顔も、宙に溶けて消えていく。
「オビト……」
そうしてなんにもなくなった白い世界に、なぜか、あの人が現れた。
はじめは、オレンジ色の面をつけていた”トビ”。
やがては、夢の世界の成就のため、忠誠を誓った”マダラ”。
ああ、なんで今まで、気づかなかったんだろう。
その仮面の向こうに、今ははっきり、素顔が見えるのに。
「ここにいたんだね」
近寄って面を外すと、やっぱり、予想通りの、あなたの顔が現れた。
さっきまでの、夢の中に出てきたあなたとは、全然違う。顔つきも、背丈も。
それどころか、いつの間にか髪は真っ白になって、なぜだか体中ぼろぼろで。
それでも間違いない、
「ずっとここにいたのね、オビト」
不思議な輝きを湛えた彼の瞳が、一層煌めいて、夜空の星のように光っている。
「やっと逢えたね、」
傷跡の残るその唇に、そっと自分の唇を重ねた。
「だいすき」
2015/04/17