◆あとがき

『掌に花、花に雫』、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
ここからは恒例のなっがいあとがきになりますので、ご興味のある方はどうぞご覧ください。


▼話を書くきっかけ
ズバリ私は原作でオビトがナルトとの決戦で「オレが火影になったら」を想像してしまうシーンが大大大大大好きなんです。正直私の思う“うちはオビト”というキャラの魅力の半分くらいは、あのシーンに凝縮されていると言っても過言ではないかもしれません。
ついでに個人的に、原作通してのオビトのベストショットはあのシーンに出ている「火影岩のオビト」だと思っているので、ぜひあのシーンをどうにかして書いてみたい…!と思ったのが最初のきっかけでした。

▼インスピレーション
それで実際話を書くにあたってインスピレーションを受けた楽曲がいくつかあるので紹介してみます。

♪「夕立の庭」GARNET CROW
この曲を聞いていて、一番最初に思いついたのが冒頭の別れのシーンでした。

♪「サボテン」ポルノグラフィティ
そのものずばりですね。このままではただのお別れの話で終わってしまいそうなところに、ちょうどこのサボテンがはまってくれたおかげで、仲直りしてハッピーエンドの話にすることができました。

♪「さぁ」SURFACE
昔某アニメの主題歌になってた曲ですね。中盤あたりの夢主に逃げられたオビトの気の滅入る感じはこの曲から拝借しました。個人的にサビ部分の「吸い込んでくれ」なんかは(本来逆ですがそこも含めて)絶妙にマッチしていて似合うと思います。

▼闇堕ち回避
そういうわけで上忍パラレルの恋愛っぽい話…という方向性は決まったのですが、問題は「いかにしてオビトを闇堕ちさせないか」という点でした。
そもそも原作のオビトの想像ワールドでは、リンが死んで、それでも自分が木ノ葉に帰ってきて立ち直るという流れなんですよね。あくまで「リンが死ななかったら」ではなくて、「リンが死んでも…」という部分が個人的にもう本当オビトというキャラの語り尽くせない魅力だと思っているので、そこを踏まえて色々考えてみました。

それでやはりというか彼のターニングポイントはマダラとの出会い、引いてはリンが死んだあの夜と思いましたので、そこをどうにかしようと。

考えてみて改めて思うのは、本当にオビトにとって良くも悪くもマダラの影響って大きすぎるんですよね。オビトは自分を導いてくれる、それこそリンやマダラのような存在にプラスもマイナスも影響されやすいのかなと思いました。それを踏まえて、ここを救うのは本来オビトを正しく導く立場だったミナト先生しかいないなと。オビト自身、決戦時にミナト先生にねちねち「遅すぎる」とか文句をつけていたのは、逆に言うと「もっと早く来てほしかった」裏返し以外の何物でもないよなと思います。

余談ですが、オビトにとってマダラは唯一無二の存在、間違いなく人生の転機だったのでしょうが、マダラにとってはそうとも言えないのが怖いよなと思います。これが原作でのオビトとマダラの絶対的なパワーバランスにつながっているのでしょうね。マダラにとってはオビトは過程や手段の一つでしかなく、それこそ「無限月読を成そうとする者はすべてマダラ」なので、オビトがいなかったらいなかったで別の誰かを使ったんだろうなと。実際サスケの方がよかったとか言ってますしね。それを考えるとオビトを助けたからといってうちはや木ノ葉が安泰というわけでもなく、まだまだ厄介事がありそうだな…と思ったのでその部分を若干終盤に盛り込んでみました。

それで話が戻って、個人的に印象的なのは、オビトがあの闇堕ちした場面で、(おそらく)死んだリンに触れてはじめて涙を流しているということなんです。オビトにとってリンの亡骸に「触れる」という行為が決定的な最後の一打だったのかなと思い、逆に言えばそこまでならまだなんとか踏みとどまれたのかな…と想像してみました。

それで里に帰ってからのオビトですが、本来なら彼が想像したように、里にいた仲間たちや、それこそ爺さん婆さんなど、きっとオビトを支えてくれる人はたくさんいたはずなんですよね。ただ、それをオビトは、マダラのなんやかんやのせいで見えないようになってしまった。自ら見ようとしなくなった、拒絶してしまったのかなと。そこをほぐしていくとっかかりは、やっぱり同じ悲しみを知っているカカシなのかなあと思いました。

▼夢主のポジション
ここまで書いてきて夢主の存在がとても希薄だと自分自身感じていますが、これは単なる私の趣味です。あくまでキャラにとって決定的な部分は原作キャラ内で完結していてほしいという好みに基づき夢主はこんな感じのポジションに落ち着きました。
とは言ってもせっかくのドリームなのにオビト復活に何も関わりがないのもなーと考えまして、考えた末に「夢主がいたおかげであれこれあってこういう影響でオビトがなんとかなりました」と言えなくもないような、遠回りな関係になりました。

この辺の話については気が向いたら番外編のような形で文章にしてみようかなと考えています。

▼おわりに
正直パラレルものということで、色々と悩む部分もあり、だいぶ長い連載期間となってしまいました。ですが、私自身、こういったオビトの話を書くことで、改めて原作オビトの素晴らしさを再確認できました。

また、連載中にみなさんからいただいた応援、温かいコメントが本当に励みになりました。おかげさまで、手探りながらも完結させることができました。ありがとうございました。

この話を通じて何か皆様の心に残るようなものがあれば……というよりむしろ、この溢れ出んばかりのうちはオビトというキャラの魅力が一ミリでも伝わっていれば幸いです。では。改めて、このようなあとがきまでお読みくださりありがとうございました。


2016/04/29


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