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「ふぅううううン…ッ!!」
びちゅっびゅびゅっ
甘い鳴き声と一緒に、真さんは自分の腹を白いもので汚した。
唇を噛んで甘美な締め付けをやり過ごし、ゆるゆると息を吐き出す。
とろんとした表情で私を見上げる彼は既に焦点が合っておらず、唾液やら涙やらでお顔はぐちゃぐちゃだ。
もっとと催促する後孔が不規則にすぼまるので、一つ苦笑し止めていた律動を再開させる。
「ッぁあア…っあ! ぁあんッ…あっ、あっ、やらっ…そこ、そこぉッ…も、辛いいぃ…っ」
「気持ち良過ぎてお辛いのでしょう? 出すものが無くなるまで、お手伝いいたします」
「ンふぅっ! ひ、ィぁあ…っきょおや、あっ、ぃやああぁ…っ」
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ
絹を裂く様な、または尾を引く様な、虚ろな嬌声により高ぶってしまう私は、間違いなくサドなのだろう。
なにせ、ナカを解す段から今みたいに結合して尚、ずっと前立腺しか突いていない。
最奥を貫くのは私が放埒する時だけで、それ以外は焦らしもせずただ愚直に、真さん曰くヨ過ぎて苦しい場所ばかりを責め立てる。いつもより格段に早く理性が飛ぶわけだ。
真さんがシーツを千切る勢いで掴むのも、正常位で繋がる私を振り払う様に引っ切り無しに膝が持ち上がってはベッドに沈むのも、時折極まって私の背に爪を立てるのも、全て制止せずに任せている。
愛しいからこそ、イイところだけを突いてもっと鳴き声が聞きたいと思ってしまう。
前立腺に照準を合わせたペニスはなるべく動かさず、身体を折り曲げて真さんに覆い被さった。両手を顔の両側に着き、快楽に浸る恋人の名前を呼ぶ。
蕩けた眼差しで私を見、真さんはやおら吐息を漏らした。
「んっ、恭哉ぁ…」
「キス、ですか?」
こくこくと首が上下に振られたので、身を屈め唇を押し当てる。力ない舌を搦め捕り、歯列を辿った。八重歯の形がはっきり判って嬉しくなる。
キスなんて数え切れない程交わしているのに、毎回毎回必死になって咥内を探ってしまう。
真さんは私の首を手繰り寄せ、自然と流れ落ちてくる唾液を美味しそうに飲み、そして幸せそうに眼を眇めるのだ。
ちゅ、くちゅうっ…
ずちゅん、ずちゅん、ぐちゅっ
口付けも律動も継続したまま、気付かれない様に恋人の下肢へ右手を伸ばす。