堪えました
耐えた
ひたすら耐えた
日に日に増してくる喪失感と幻覚に
「雪」
ほら
今日も呼んでる
令司が私を呼んでる
そんなはずはない
彼は死んだんだ
し ん だ ?
じゃあ
後ろで私を呼んでるのは?
『だ…れ?だれ?誰、誰、誰、誰、誰誰誰だれだれだれだれダレダレ?』
「雪?」
『…ぇ……丸子さん…?』
「あ、えっと…具合悪い?平気?」
『いや…平気、です…よ?』
そうだ
ここは私の部屋
『…寝ます…なんか…頭、いたくて…』
本当に酷い頭痛だなぁ
いつから痛いんだっけ?
「そう?じゃあまた明日来るわね」
丸子さんは部屋を出て行った
彼女は学校帰り、必ず家に来てくれる
私が学校に行かないから
いつから学校行ってないんだっけ
「雪」
ああ
また聞こえてきた
やっぱり彼の声だ
「雪、こっち向いて?」
声を無視してベッドに入る
「雪…」
そんな悲しそうに呼ばないでよ
あんたは私の作った幻なんだから
(雪)(振り向いたらいけない、だから堪えた)
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