抱きしめる


(消えたい)

(冗談抜きで)


「理子ちゃん、そんなとこで何してんの」

(元から存在なんてなければ良かったんだ)

「理子ちゃん」

(死にたくない、でも消えたい)

「理子」

『ク、ザン…』

「大丈夫だって」

ぎゅっと

私を抱きしめた彼の腕が暖かくて


『ごめんなさい…クザン、ごめんなさい』

「気にしすぎだよ、理子ちゃんは」


くすりと

笑った彼の顔があまりにも優しくて





(私は泣いてしまったのだった)

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