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デコボコ山道。
文字通りのデコボコ道を真麻は歩く。柔らかな火山灰を踏み締め、ヒールのかかとが沈む。上からは灰が降っており、被る毛布を灰色にする。
段差道を歩いていた真麻が突然止まる。ん?首を傾げたリユキが近付けば、真麻はその場にしゃがみ込んだ。
「疲れた…」
「頑張れ。ほら、あと少しだから」
リユキが指差す先には看板。目の悪い真麻にはわからないが、遠くを見透すリユキの目には書いてある文字が読めた。
「『この先、フエンタウン』。ほら、あと少しだろ?」
「かなり下じゃん…」
「それでもかなり下りてきたはずだぜ?」
「いやまあ」
なんとか立ち上がった真麻をリユキが引っ張りながら、山を下っていく。そしてようやく、木々を潜った先。
そこには目指していたフエンタウンがあった。
「ようこそ、ポケモンセンターへ!」
にこやかなジョーイに真麻はモンスターボールを渡す。それから灰を払った毛布が洗える洗濯機がないか聞く。
ジョーイは笑顔で地図を渡し説明する。
「ここが真麻さんのお部屋、この廊下の奥に洗濯機が置かれた部屋があります。お風呂は角を曲がった先。食堂はこちらですね」
「ありがとうございます。…ボールはいつ帰ってきますか?」
「簡単なチェックだけですので、すぐに」
「わかりました」
ポケモンセンターのソファに座って待つこと数分。がらがらとボールの置かれたトレイを載せた台車がやってくる。
ボールを回収して部屋へ。荷物を置いてすぐにボールからポケモン達を出して。
「じゃあお風呂入ってくるので」
「あ、マスター私も行く!ノエルは?」
「いかなぁい」
「じゃあ留守番よろしく。俺も風呂入らねぇと灰でなんとなくチリチリする」
「俺も行こうかな」
「オウカは?クシロはどうする?」
「…行くけど」
「俺も行こう。ノエル、留守番頼む」
「えっ、みんな行くの?…まあいいけど」
意外そうにクシロを見やるノエルは、ポスン、ベッドに座った。一応鍵かけるね、服やタオルを持った手持ちを部屋から出して真麻はノエルに手を振る。
カチャン、鍵をかけた。
ふむ、ノエルは窓の外を見る。風向きや立地のためか、灰は降っていなかった。
「なんだ、つまぁんない」
それでも、ふわりと浮いたノエルは窓の外を眺めた。
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