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「…昼間あっちぃ」

真麻の呟きに背後のオウカは頷く。
カイナシティまで戻ってきた真麻達は、一旦ポケモンセンターでシャワーを浴び、食料品やらの買い物を済ませ、昼を少し回った時間にようやっとカイナシティを出たのだった。
朝は寒いくらいだったのに、昼になると急激に気温が上がり、真麻はシャツの袖を捲り上げる。それから背後のオウカに引っ付いた。
当の本人は実に嫌そうな顔をしている。

「…なぜ」

「オウカちゃん夏でも冷たくて最高なんだよね。暑いから引っ付かせて」

「…」

「いやー、秋でも雪が散らつかずこんなに暑くなるなんて、ホウエンすごいね!」

「…貴女は一度来たのでは?」

「当時は夏だったから、そもそも暑さで死んでたね!」

真麻の、暑さでぐったりとしている自分を僕に運ばしている姿が浮かんで、オウカは眉間にしわを作る。
腕に引っ付く主に嘆息して、仕方なくゆっくりと歩き出した。


頭の上を通る自転車道。歩きの自分達はその下にある草むらを通ってキンセツシティに行く。虫除けスプレーを撒いた真麻は、もう少し気温が下がらないかな、と考えつつ、自分に引っ付かれても文句1つ言わないパートナーを見上げる。それに気が付いたオウカが僅かに眉を潜めるのを確認して、真麻はなんでもないよ、と返した。

「キンセツシティに着いたら、さっさと部屋を確保して私は寝るのだ」

「食事は摂って下さい」

「夜に食べる。先に寝る」

「不健康な。ただでさえ朝は雑炊、昼は食べずにこうして歩いているのですから、夜くらいまともな食事にして下さい」

「暑くてご飯食べる気にならないの」

頬をオウカの腕に付けて、冷たい、と呟く。結果体重がオウカにかかり歩きづらいはずだが、オウカはしゃんとして真麻を支えつつ歩く。

「…?」

まさか熱でもあるまいな?
オウカは手袋を外してそっと真麻の額に指で触れる。温かい人間の体温伝わってくるが、特に熱い訳ではない。やわ、触れた指先を離すと、抗議の声が上がった。

「冷たかったからもうちょっと触ってて」

「熱があるか調べただけです」

「ダメ、マスター命令」

なんとも理不尽な。
マスター命令をそう容易く出して良いものなのだろうか。
オウカは憮然としたが、仕方なしに再び指先を主の額にくっ付ける。黒髪を掻き分け触れた額はやはり温かい。
むきゅう、なんて言って真麻は満足そうにしていた。
そうしてのたりのたりと進んだ110番道路の先に、キンセツシティに辿り着いた。












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