9


朝の光に真麻は目を覚ました。ちろり、周りを見れば散乱した荷物を発見。そう言えば、昨日は部屋に入ったらすぐに寝たのだったか。
時計を見れば朝の9時。自分にしては少し早い目覚めだ。のそのそとベッドから這い出て、すぐ傍の椅子に腰かける。埃を被ったパソコンを拭って、カチリ、電源を付ける。
メールボックスにはどこにいるかもわからない自分宛てに送ったメールが何通か。これと同じものをトキワの森の自宅にも送られており、そちらは全て確認している。
消去。全て消去。
たった一通、新しいものを開ければ、それは見慣れた友人のもので。今ホウエンにいることを知らせる内容だった。
それは彼にしては珍しいことである。
まあ何か楽しいことでもあったのだろう、それに自分を巻き込みたいだけだ。構わない、乗ってやろうではないか。
そうしてメールを漁っていればお昼近く。トントン、扉がノックされた。

「はいよーどうぞー」

「姉さんおはよう、起きてるならリビングおいでよ」

結真が顔を出すと、おはよう、真麻も返す。パソコンの電源を落として着替えるから出るように言う。早く来るように言った結真に生返事を返して、真麻は手早く着替えて洗面所へ。歯磨き、洗顔、それから髪を整えて。
リビングに行けば甘い朝食が待っていた。


「姉さん、もう行くの?」

「うんー、今朝方用事ができてね」

リユキに跨がって真麻は言う。その呆けた様子にまた何か面倒なことになったのだな、結真はそう考えた。
眼光鋭いリユキの頭を撫でて真麻はじゃあね、一言言って走り出す。それに結真は見送ったあと、背後を振り返り眠そうな青年に命じる。

「姉さん追いかけて。でも、今日の夜には帰っておいで」

「ん」

小さく頷いた青年は黒い6枚の翼を広げて、猛スピードで追いかけていく。ぴょんっと頭を覗かせたメイラクがいいなぁ、と呟いた。


さて、夕方に船着き場に着いた真麻はしばし考える。このままカイナシティに戻ってもいいが、時間を考えるとそこのトウカの森で野宿が1番だ。もふもふとリユキの頭を撫でながら真麻は考え、嫌がったリユキが頭を振る頃には赤い空に藍色が混ざって。しょうがない、野宿だ、と森の中に入って行った。










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