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靴を脱いで砂浜で遊ぶ。
目的地まであと少しだから、とスカートを翻して真麻は素足で砂浜を歩く。その後ろを彼女の靴を持ってオウカが付いていく。

「オウカちゃん見てみてー、桜貝!」

「…小さいですね」

「ねー」

自分の爪と比較する少女に嘆息して、次々と集めてくる貝を手のひらに置かせる。こんもりと山になったのを確認して、袋に入れてしまうように言った。

「日が暮れます。早くミシロタウンに向かいましょう」

「んー、トウカシティで泊まってもいいよ?」

「…結真さんに連絡したのでしょう?首を長くして待っていると思いますが」

「!」

びっくりしたように目を見開く少女によもや忘れていた訳ではないだろうかとオウカは眉を寄せたが、忘れてた、真麻の呟きに再び嘆息する。
やや冷たい視線を浴びせて行きましょう、言葉を強めた。うん、頷いた少女に靴を履かせて歩かせる。
トウカシティを素通りしてコトキタウンへ。途中新米トレーナーを蹴散らして進む。段々寂れてくる町並みに肩を竦め、コトキタウンを出る。
少しずつ日が暮れ、視界が赤く染まる。まだ暑いとは言え季節的には秋だ。日が暮れるのが早い。
あと少しでミシロタウン、と言うところでがるるー!歯を剥き出しにしたポチエナが草むらから飛びかかって来た。驚いて硬直する真麻の前にオウカが割り込み、腕で払い退ける。
ぎゃうんっ!吹っ飛んだポチエナの悲鳴に漸く硬直の解けた真麻が慌てて駆け寄った。意外とダメージが入ったようでもがくポチエナを観察すれば、しっぽに足跡を発見した。

「あららー、踏まれちゃったのねー」

オウカちゃん押さえて。指示を出してバッグから傷薬を取り出す。患部に吹きかければ滲みるのかガオガオと吠えた。包帯を巻いてぽんぽん、頭を撫でて解放する。

「もう踏まれちゃダメだぞー」

オウカが手を離せば一目散に逃げていく。すぐに草むらに紛れ、見えなくなった。
まったく、治療もできないとは新米が踏んだかね。
真麻の呟きにオウカは小さく頷いた。


ギリギリ夕方、アクティブなホウエン地方の博士に研究資料を渡す。内容はわからないが嬉しそうにする博士に挨拶をして研究所を出る。

「オウカちゃん、リユキちゃんと交代」

ポケモン本来の姿のリユキに、コトキタウンを越えて真っ直ぐ走るように説明する。

「結真君の家、そっちなんだよね」

リユキに跨がって優しくたてがみを撫でるとゆっくりと走り出す。
その途中、白い包帯が見えた気がして真麻は微笑んだ。


103番道路。川の近く、ぽつんと建つログハウスをやや大きくしたような家。
真麻は真っ暗になって明かりの点いた玄関を大きく叩く。ガタガタと音がしてからゆっくりと扉が開いた。
出てきた濃い青色の髪の少年に微笑みかける。

「夜にごめんね、一晩お願いできないかな?」

「…姉さん、来るの早かったですね?」

結真は髪と同じ瞳を細めた。









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