俺今絶対顔赤い





マジ無理マジ無理こういうの俺ほんとに無理なんやって……!

白石は困惑していた。彼は現在年上の女性二人組に声をかけられている。部活が終わったのが思っていたよりも少し早い時間だったから途中本屋に寄ったのだが、店を出た途端に引き留められたのだ。


「ね、奢るからさ。」


お姉さん達こんな高校生のガキに声かけんでもええやん!
きらきらとした目を見ることが出来なくて目を逸らすも、視線が落ち着くことはない。がっつりと開いた服のせいで健全な青少年には刺激的な景色が広がっているのだ。身長差のせいで上からの目線になってしまう彼からすれば目のやり場に困るのは仕方のないことであろう。


「俺まだ高校生やから……」
「高校生全然アリだよぉ?」
「つ、連れがおるので」
「来るまででええから。ね?」


あああ墓穴掘ったぁぁぁ。連れ?そんなもん一生来ないわ!ど、どないしよう……!


「ごめん。遅れて」


一人狼狽する白石の体が軽く傾く。彼がばっと勢いよく振り向くと、そこに居たのは隣のクラスの苗字だった。友人であり部活仲間である忍足謙也と仲良さげに話をしているのを白石は何度も見かけたことがあった。知った顔に少し安心して思わず顔が緩んだ。
のも束の間、彼の表情が強張る。苗字がぎゅうっと白石のケツを容赦なく抓っていた。

こ、これはさっさと話をあわせろっちゅーことやんな。


「え、ええよええよ。ほな行こか。」
「なんだー残念。じゃあねー」


去って行くお姉さん達を横目に白石の手を引いて苗字が歩き出す。駅前近くまで行くとばっと手が離された。


「白石君顔真っ青だったよ。嫌なら嫌って言えば良いのに」
「お、おん。」
「じゃあ、気をつけてね」


軽く手を降って颯爽と駅の中へと消えていく苗字を白石はぼんやりと見つめていた。


アカン、俺今絶対顔赤い………。

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