ガーデン
タイムリミットはあと三日。
もうすぐ中間試験ということで、大体の部活は一週間ほど前から活動停止期間に入っていた。ただしテニス部はそうではないらしく、柳生と仁王は昨日も部活があると言っていた。
対する私は写真部という普段の活動さえ怪しい部活なので、迫るテストに向けてここ一週間は教室に残って勉強している。
立海はさすが私立というだけあって、図書室の設備が整っている。
テスト期間ともなると図書室の自習者が増えるのだが、私はどうもあの張りつめた空気が苦手で、教室を使わせてもらっていた。
テニス部は普段の活動だって忙しいはずなのに柳生の成績は学年でも上位だし、仁王だって私より上だ。いったいどんな仕掛けがあるのかと疑ってみたくなる。思わず自分と比較し、ため息をつきながらシャーペンを握った。
それからどれぐらいたっただろうか。ガラッと、ドアがスライドされる音がしたのでチラリとそちらを見る。パッと目があったのはよく知る二人だった。
「テスト勉強ですか」
柳生が隣の席に腰を下ろしながら問うた。後ろの席には仁王がラケットバックを立てかける。
「うん。二人は?」
「私たちも同じですよ」
「部活は?」
「今日はミーティングで終わり。明日からテスト終わるまでは休みぜよ」
流石のテニス部も直前には休みになるようだ。
置き勉していたのであろう教科書類を自分の座席から取り出しながら仁王は言った。二、三冊の参考書とノートを持って仁王は私の後ろに座った。
「わからないところがあったら教えてね」
「ええ、私のほうこそ」
「そんなことあるんかの」
仁王の言葉に思わず笑いが漏れた。
確かに、一方的な教授になりそうである。
それから私達はテスト勉強に取り組んだ。相手の隙をみては疑問を聞いたり、聞かれたり。
下校時間が来た時にはかなりの達成感があった。三人して人の少ない校舎内を歩く。
「苗字さんは明日も勉強なさるんですか?」
「そのつもり。二人も?」
「ええ、一応」
「そっか。じゃあもし時間が被ったらよろしくね」
「おお。」
今回のテストはなかなか良いとこ行くかもしれない。なんてったって柳生効果が期待できるのだから。それの効力は去年実証済みなのである。
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